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高齢者の住まい確保をテーマに豊島区がセミナー

パネルディスカッションの様子

 豊島区居住支援協議会は13日、IKE-Bizとしま産業振興プラザ(東京都豊島区)において、高齢者の住まい確保をテーマにセミナーを開催した。

 第1部は、(公財)日本賃貸住宅管理協会あんしん居住研究会委員などを務める伊部尚子氏が登壇。「単身高齢者の住まい探しは困難だと言われているが、高齢者を受け入れる側の不動産会社・オーナーにも住居を提供することへの不安がある」とし、(1)滞納発生、(2)入居者死亡後の契約解除、残置物、(3)孤独死の際の早期発見、(4)認知症の4つの不安を紹介。それらに対する対応・対処法をアドバイスした。

 (1)については、家賃債務保証会社の利用を挙げ、「身寄りのない高齢者の審査においては、知人・友人でも複数の緊急連絡先があると審査にプラスになる場合がある」とした。(2)では、最後に嫌な思いをするオーナー、保証会社の負担を減らすため、行政の支援も必要と言及。生活保護(住宅扶助)が止まる際には、解約と荷物処分ができるよう、本人や身内の意思確認の仲立ちをする必要性があると話した。
 (3)では、孤独死を早期発見するために行なっている運送会社の見守りサービスを紹介。(4)については、「認知症に限らず、加齢に伴って生じる心身の問題は、不動産会社とオーナーだけでは難しく、行政の相談先が必要」とした上で、区内8ヵ所にある高齢者総合センター、豊島区の「見守り声かけ事業」「熱中症予防啓発のための戸別訪問」などの取り組みを紹介した。

 第2部では、パネルディスカッションを実施。同協議会副会長の露木尚文氏をコーディネーターに、伊部氏を含め、(公財)日本賃貸住宅管理協会安心居住研究会、(公社)東京都宅地建物取引業協会第四ブロック豊島区支部、(公社)全日本不動産協会東京都本部豊島・文京支部、豊島区保健福祉部等の担当者が意見交換を行なった。
 「高齢者に貸したいと思えるインセンティブ(法整備)を行政にお願いしたい」「それぞれの立場で支援活動を行なっているが、一つのチームとして取り組んでいくべきでは」「民生委員とオーナーが日頃から良好な関係を築くことで、いざというときの対応がスムーズになる」「孤独死の早期発見に関するサービスや支援策の枠組みはできているが、スピーディな対応のためにまだまだ課題は多い」などの意見が挙がった。「本日、立場の違う人たちが集まり互いの悩みが分かったことはとても有意義。日頃からやり取りを密にし、共に豊島区の新たな仕組みをつくっていければ」(伊部氏)と締め括った。


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