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社整審、住生活基本計画の関連施策で意見交換

 国土交通省は13日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:横浜市立大学国際教養学部教授・齊藤広子氏)の会合をウェブ併用形式で開いた。

 今回は、住生活基本計画に基づく(1)住宅セーフティネット制度、(2)マンション長寿命化・再生円滑化、(3)住宅団地再生に関する検討状況について意見を交換した。

 冒頭、国土交通省がそれぞれのテーマについて現状を報告。(1)では、住宅セーフティネット制度等について説明。2023年9月末時点で登録戸数は87万5,855戸、このうち住宅確保要配慮者専用の住宅は5,536戸となった。また、同時点で指定居住支援法人は741者、居住支援協議会が47都道府県で設立されたものの、市区町に関しては90市区町にとどまることも報告された。特に高齢者に絞った場合、賃貸人が高齢者の入居を忌避する理由の90.9%が居室内での死亡事故等への不安であるという調査結果を紹介した上で、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」および「終身建物賃貸借事業」について概要を紹介した。
 これに対して委員からは、「終身建物賃貸借制度も、モデル契約条項もハードルが高く使いづらいので、制度を見直す必要がある」「国土交通省、厚生労働省、法務省による共管法を作っては」などといった意見が挙がった。

 また、(2)については、築40年以上のストックが20年後には445万戸となること、区分所有者の高齢化や非居住化が進行する可能性等の問題を指摘。その上で、法務省法制審議会における区分所有法の見直しや、それに並行して行なわれている国土交通省でのマンション政策のあり方についての検討について紹介した。
 これについて委員会からは、「個別では対応が難しいマンションについては、周辺地域も含めたブロック単位での再生を目指すことも必要」などのコメントがあった。

 (3)については、高度成長期に大量供給された住宅団地の多くで高齢化が進行し、空き家等の発生が懸念される事態に陥っているとして、コミュニティ再生や生活支援の提供などによるまちづくりに向けた施策について説明。住民や民間事業者等と連携した再生手法について検討し、年度内に結論を出す。
 委員からは、「すべての団地を再生するのは現実的ではない。ある程度対象を絞り込む必要がある」「バス減便などの問題もある。地域住民の実際の交通行動も踏まえた対策を考えなければならない」などといった意見が出た。


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