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「住宅確保要配慮者の部屋探し」支援事例を紹介

 (株)リクルートは11月30日、「百人百通りの住まい探し 100mo!」イベントを行なった。

 同社が運営する「SUUMO」は2021年より、住宅確保要配慮者等の住まい探しを支援する「100mo!」を立ち上げ活動している。住宅確保要配慮者が置かれている状況の理解促進や、不動産業界での取り組みを活性化させることを目的に、同イベントを初開催した。

 住宅確保要配慮者の部屋探しに取り組む4社の事例を紹介。
 (株)ニッショーは、部屋探しをする高齢者がたらい回しになっている状況を知り、13年に安心見守りサービス「シニアライフサポート」のサービス設計を開始。毎日の電話での安否確認サービス、24時間365日無料の駆け付けサービス、防犯や防災に加えライフ監視センサー・救急ボタン等の設置により、高齢者とその家族が安心して暮らせるサービスを提供する取り組みを披露した。(株)三好不動産は、「すべての人に快適な住環境の提供をしたい」という基本姿勢のもと、外国人や高齢者、LGBTQ、DV被害者などの部屋探しを支援してきた。特に、LGBTQの取り組みについては社内プロジェクトを立ち上げ、専門の担当者を設置。行政や異業種ともタッグを組みながら活動を広げている現状について話した。

 「入居者ファースト」を事業の幹として運営してきた(株)長栄は、入居希望者を断らないスタンスで各種サポートシステムを開発。高齢者に対する見守りサービスの提供や、自社管理物件の入居者だった留学生を従業員として採用し、外国人への各種手続き・トラブル防止説明会の開催、母国語でのサポートなどの取り組みを披露した。住まい探しが困難な人たちへのサービスに特化したメイクホーム(株)は、「完全管理システム」の取り組みを紹介。築古などで空室になっているアパートを、投資家から預かった資金でリフォームし、住まいを必要としている人に提供。トラブルなどはすべてノウハウのある同社が対応することで、オーナーの不安やリスクを排除し、安定的・長期的な家賃収入を投資家に還元する仕組みを披露した。

 引き続き、「住宅確保要配慮者への取組実態・ポイント、今後の賃貸業界に向けて」をテーマに、4社によるパネルディスカッションを実施。長栄の入居促進本部本部長・奥野雅裕氏は、高齢者や外国人の受け入れに消極的なオーナーへの対応策を紹介。「少子化が進むこれからは、そうした方たちの受け入れを拒んでいては先細るだけ。長期的な安定経営を考えるのであれば、住宅確保要配慮者の入居促進に注力することも必要。このことを丁寧に説明し、考えに賛同するオーナーが増えている」と話した。
 これから住宅確保要配慮者への取り組みに参入する不動産会社に対するアドバイスとして、「スタッフのマインドを統一させて物事を進めることが重要」「“理解”の問題だからこそ手応えを感じるまでに時間がかかるということを心得ておく」「『まずはやってみる』ことが大切。その上で見えてきた課題を解決していくことを繰り返していけば良いのでは」などが挙がった。


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