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LIFULL伊東新社長「容易に使えるツールでDX支援」

LIFULL新社長の伊東氏

 (株)LIFULLの代表取締役社長執行役員に21日就任した伊東祐司(いとう・ゆうじ)氏が当社の取材に答えた。人手不足が不動産会社の抱える最大の課題と捉え、「生成AIなどの最新テクノロジーを誰もが使いやすいツールとして不動産会社に提供し、各社のDXをサポートしていく」と話した。

 ――創業者である井上高志氏からバトンを受け取る、社長就任の抱負を。
 「当社の歴史の中で初めての社長交代。『第2創業』と位置付けて井上氏のリーダーシップを受け継ぎたい。当社の長所は『利他主義』という考え方が社員に根付いていること。社会課題を解決したいと入社を希望してくれる人も多い」

 ――今後の事業の方向性について。
 「不動産業界の最大の課題は人手不足であり、DXが待ったなしの状況に追い込まれている。テクノロジーの力を使って会員不動産会社の生産性向上をサポートしていかなくてはならない。『生成AI』などの技術や手法も登場してきた。これらを『最初に』不動産会社に展開していく会社でありたい」

 ――どのような点で新しい技術を活用していくのか。
 「不動産会社から、反響対応に人を割くことができず、せっかくポータルサイト経由で反響を得ても対応ができないという悩みを聞く。たとえば、一次対応に生成AIを活用し、問い合わせへのメール対応や物件提案をすべてAIに任せ、人間は来店客への対応に集中する、というような活用を考えていく」

 ――DXへの意識には会社ごとに差があるように感じます。その差をどのように埋めていくのでしょうか。
 「ツールを用意しても、使いこなしてもらえるかは別問題。マニュアルがたくさんあったり、使い方をレクチャーしなくても、誰もが実装したその日から簡単に使えるようなUI・UXを提供していく」

 ――ポータルサイト「LIFULL HOME’S」については。
 「賃貸管理会社の物件データベースと当社のデータベースとを連動し、AIによって募集終了物件を検知する取り組みがさらに進んでいる。不動産会社は『落とし忘れ』を防ぐことができるので、意図せず『おとり物件』を掲載してしまうことがなくなっている。今は、募集終了したのに掲載し続けている物件の約87%を検出できるまでに精度も上がっている。こうした信頼性の向上やサービス充実で会員を増やし、早期の3万社達成を目指す」

 ――その他の事業は。
 「シニアの住まい探しや、空き家バンク、不動産会社向けの人材採用、ブロックチェーン技術を活用した不動産分野でのNFT活用など、不動産の周辺ビジネスを強化していきたい」

【略歴】
1982年生まれ、41歳。埼玉県出身。2006年(株)ネクスト(現・LIFULL)入社。執行役員HOME‘S事業本部賃貸・流通営業部長、執行役員LIFULLHOME’S事業本部長などを経て、23年12月より現職。


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