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空き家取引での報酬規定の改定でパブコメ

 国土交通省は2日、「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬額」の一部改正案に関して、パブリック・コメントを開始した。

 空き家等の流通促進が喫緊の課題となる中、2023年12月に開催された社会資本整備審議会産業分科会不動産部会において、今後「不動産業による空き家対策推進プログラム(仮称)」の策定を目指す、とされたことを受けてのもの。

 (1)「低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例」について、低廉な空家等(800万円以下)の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受ける報酬額は、「売買又は交換の媒介に関する報酬の額」の規定を越えて報酬を受けることができるとし、その場合、30万円の1.1倍に相当する金額を越えてはならない、とする。
 (2)「低廉な空家等の売買又は交換の代理における特例」について、低廉な空家等の売買又は交換の代理については「売買又は交換の代理に関する報酬の額」の規定にかかわらず、(1)の規定で算出した金額の2倍以内とし、ただし、宅建業者が売買または交換の相手方から報酬を受ける場合は、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬額の合計額が(1)の規定で算出した金額の2倍を超えてはならない、とする。
 さらに、長期の空き家等の貸借の媒介については、借主である依頼者から受ける報酬の額が借賃の1ヵ月以内(居住用の場合は0.5ヵ月以内)である場合に限り、合計で借賃の2ヵ月分までの範囲で報酬を受けることができるという特例を創設する。

 受付締切は5月31日。その他詳細はホームページを参照。

 公布を6月中、施行を7月1日に予定している。

 なお同日、この件に関して(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長の坂本 久氏がコメントを発表した。

 本日、国土交通省において、標記の空家等に係る宅建業者の媒介報酬規制(大臣告示)の見直しに伴うパブリックコメントが実施された。

 先般公表された令和5年住宅土地統計調査では、全国の空き家は900万戸と前回調査から51万戸増加し、空家率も13.8%と増加傾向に歯止めがかかっていない。こうした現状を踏まえて国土交通省では、空家等の未利用不動産流通の促進が喫緊の課題であり、不動産業の有するノウハウの活用や宅建士等の役割が期待されていることから、「不動産業における空き家対策推進プログラム」(仮称)の策定が予定され、この取り組みの一環として、媒介報酬告示の一部改正についての見直しがなされることとなった。

 本会では長年に渡り、空き家対策に取り組む上で、低廉な空家等の売買又は交換の媒介の特例について、売主だけでなく、買主も対象とするよう要望を行ってきたが、今回の改正案では特例に係る上限を800万円まで引き上げることとし、大変画期的な改正案であると評価したい。さらに、賃貸借についても長期の空家等に係る媒介の特例を創設することとなり、空家問題解決の一助になるものと期待している。

 我々ハトマークグループは、全国ネットワークでの空き家相談体制の整備や空家特措法の管理活用支援法人の指定を目指すなど、増加する空き 家問題の解決にいっそう努めて参りたい。


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