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中規模建物の省エネ基準見直し、26年春に施行へ

 国土交通省と経済産業省は3日、住宅・建築物のカーボンニュートラル実現に向けた対策強化を目的とする2省合同会議を開き、中規模非住宅建築物の省エネ基準と、住宅トップランナー基準の見直しについて検討した。

 同会議は、国交省の「社会資本整備審議会建築分科会建築環境部会建築物エネルギー消費性能基準等小委員会」と、経産省の「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会建築物エネルギー消費性能基準等ワーキンググループ」による19回目の合同会議。

 中規模非住宅建築物(延床面積300平方メートル以上2,000平方メートル未満)の省エネ基準見直しについては、先行する大規模建築物(同2,000平方メートル以上)の基準と同一として、各用途の適合状況を踏まえて用途に応じてBEI(建物の設計一次エネルギー消費量を、地域や建物用途、部屋の使用条件などにより定められている基準一次エネルギー消費量で除した値)=0.75~0.85の水準を設定する。
 具体的には2026年度の水準案を、工場等=0.75、事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等=0.80、病院等・集会所等・飲食店等=0.85とする。さらに、30年度までに目指す水準として、事務所等・学校等・工場等=0.60、病院等・集会所等・ホテル等・百貨店等・飲食店等=0.70という基準を設定した。
 これに対して、委員からは「省エネ性能をアップする環境設備について、市場での当該製品の市場シェアや価格などについても把握しておくことが必要ではないだろうか」「設計サイドだけでどうにかなる話ではないので、発注者側の理解を得ることが大切。データ公開などを通じて発注者を説得できる材料を提供するべき」などといった声が挙がった。

 大手住宅事業者に対して、市場で流通するよりも高い省エネ性能を求める「住宅トップランナー基準」の見直しについては、すべての住宅で現行の外皮基準を満たしている事業者が建売戸建て住宅(年間供給戸数150戸以上)91.7%、注文戸建て住宅(同300戸以上)57.4%、賃貸アパート(同1,000戸以上)25.0%となったが、戸数ベースではいずれも100%に近い水準となった。これらの実績を踏まえて、27年を目標とする外皮水準と一次エネルギー基準(BEI)を設定。外皮基準はいずれも強化外皮基準(ZEHに求められる基準)を求め、BEIは再生可能エネルギーによる自家消費量を除いた数値を採用し、それぞれ建売戸建て住宅=0.80、注文戸建て住宅=0.75、賃貸アパート=0.80とした。
 委員からは「需要家やユーザーが環境性能の重要性を理解するよう、積極的な広報施策が重要となる」などといったコメントが得られた。

 それぞれについて、委員からの異論もなかったことから、これらの事務局案を採用。パブリックコメントを行なったのち、24年秋ごろに中規模非住宅建築物の省エネ基準を公布し、26年春頃に施行する予定。住宅トップランナー基準は25年春ごろに公布・施行する予定。


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