(一財)森記念財団 都市戦略研究所は10日、「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index)2024」を発表した。
同ランキングは、世界の主要48都市を選定し、都市の力を表す「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」という6分野70指標に基づき評価している。
トップは「ロンドン」で、スコアは1655.4。2位「ニューヨーク」(1505.8)、3位「東京」(1445.4)、4位「パリ」(1423.0)、5位「シンガポール」(1291.8)と続いた。トップ5都市に変化はなかったが、「東京」と「パリ」、「シンガポール」は大きくスコアを上げ、「ニューヨーク」との差を縮めた。3都市の共通の要素としては、外国人訪問者数やホテル環境など「文化・交流」関連指標の評価向上が挙げられる。また、パリは夏季五輪の開催が、東京とシンガポールはコロナ禍による慎重な水際対策によって回復が遅れていた国際観光の拡大が貢献した。
東京を分野別で見ると、「研究・開発」が4位から3位に上昇。「研究者数」(1位)、「世界トップ大学」(21位)、「スタートアップ数」(7位)、「留学生数」(27位)のすべてで順位が上がり、研究人材・リソースの集積が改善されたことで、本分野における全体的な評価の底上げとなった。一方で円安を背景にした「研究開発費」のスコア減少幅が48都市中最大となるなど、課題も見られた。
「文化・交流」は5位から3位に上昇し、初のトップ3入りとなった。「外国人訪問者数」(3位)など外国人受入実績が大幅なスコア増となったほか、レビュー数より満足度をより評価する手法に変更した「観光地の充実度」(11位)など観光資源が今回の躍進につながった。従来の弱みだった「ハイクラスホテル客室数」(12位)も上昇し、「文化・交流」が東京の新たな強みになりつつあることが分かった。
「居住」は3位を維持。強みであった「小売店舗の多さ」(2位)、「飲食店の多さ」(4位)など生活利便性に関する指標がさらに向上し、為替変動の影響で「住宅賃料水準の低さ」(18位)、「物価水準の低さ」(18位)などの生活コストも高評価され、順位が上昇した。一方で「働き方の柔軟性」(39位)などはさらに低下。就業環境が今後の課題の一つとなっている。
また、ポストコロナ時代における変化を見ると、パンデミックの収束を受け、トップ5すべての都市で「外国人訪問者数」のスコアが上昇。特にパリと東京が大きく評価を上げた。パリは五輪開催が影響し、東京は円安により海外からの渡航者数が大幅に増加。東京については、観光客の増加と並行して、日本の質の高いコンテンツに対する評価数も上昇したとしている。