不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

全館空調によるウイルス濃度低減効果を実証

「エアロハス」に採用されたHEPAフィルターがウイルスを捕集する

 パナソニック ホームズ(株)は3日、(一財)日本繊維製品品質技術センター(QTEC)と共同で実施した実住宅でのインフルエンザウイルスの噴霧試験実証の結果を公表。空気清浄機能を持つ全館空調システムにおけるウイルス感染価(感染力を持つウイルス)の濃度低減効果を確認したことを発表した。

 新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策として「換気」の重要性が注目されているが、これまでは単一空間での効果実証にとどまってきた。今回の両者の取り組みは、複数の部屋間相互の気流を考慮した住宅内の拡散影響を評価するもので、国内初という。HEPAフィルターを採用している同社の全館空調システム「エアロハス」を使用した。

 実証は、同社湖東工場(滋賀県東近江市)内の住宅試験センター内にある国内最大級の人工気象室に2階建て・延床面積114.66平方メートルの実験専用住宅を建設して実施。(1)一般的な間欠空調(第三種換気)、(2)風量の小さな全館空調、(3)風量の大きな全館空調、という3パターンの条件を設定。ウイルスの噴霧直後・30分後・60分後の空気を採取して、ウイルス感染価の濃度を分析・検証した。

 その結果、噴霧した2階居室では、(1)の噴霧直後の濃度を100%とした場合に、(2)の噴霧直後は56%、(3)は18%にまで低減。さらに30分後、60分後の低減効果も(1)<(2)<(3)となり、特に(3)の60分後は0%という結果となった。両者はこの結果を受け、「空気浄化機能を持つ全館空調では、初期濃度の上昇を抑制する効果があり、風量が大きいほど除去スピードに与える効果も大きい」と推察した。

 同社R&Dセンター環境技術研究室室長の梅本大輔氏は、「広さやプランなどの条件で結果が変わると考えられるので、まだまだ実証を積み重ねていく。当面、住宅のフィールドで検証を積み重ねて、将来的には施設系の建築物にも応用できるようにしていきたい」などと語った。


最新刊のお知らせ

2025年5月号

「事故物件」、流通の課題は? ご購読はこちら