(一社)不動産証券化協会(ARES)は24日、東京會舘(東京都千代田区)で理事会を開き、2025年度の事業計画について決議した。
事業計画では、重点項目として(1)事業用資産の買換特例措置の延長を含む26年度制度改善・税制改正要望の実施、(2)JREIT投資口価格の適正な評価に向けて、JREIT各社や各種専門家・機関投資家との対話を実施。課題整理等を行なった上で実効性ある活動の検討・実施、(3)個人投資家のJREIT認知度のさらなる向上、(4)「ESG経営に基づく信認の向上」に向けた業界全体のESG活動底上げ、(5)マスター資格の間口拡大を目的とした新制度スタートの年として的確な運営と情報発信。また、養成講座受講者の増加や資格者1万人超に対応したシステムリニューアルへの着手、の5点を挙げた。
この中でも(2)は新設項目として強調。NISAの「つみたて投資枠」の投資対象商品に、東証リート指数のみに連動する投資信託・ETFを追加する要望活動を実施するほか、機関投資家に対して年金セミナーの開催や投資家小委員会での対話等を通じてコミュニケーションを強化する。このほかにも市場に関係する多様な主体とのコミュニケーションを促進する場を設けて相互理解を深めたり、JREITの商品性を整理するための基礎的調査研究を実施して投資家に対する商品訴求に向けた情報発信力強化の基盤とする。
同協会会長の菰田正信氏は、「昨年9月末時点で国内REIT市場の資産規模が約30兆1,000億円と、初めて30兆円の大台を突破するなど順調に拡大している。しかし、JREIT市場全体でNAV倍率が1倍を割り込むなど、その価値が適正に評価されていないと感じている。JREITに対する適正な評価の実現に向けて活動していく。とりわけ、個人投資家に対する訴求していきたい」などと語った。
また、JREITが割安になった要因について菰田氏は、「コロナ禍の出社率低下で評価を下げたオフィス系リートがコロナ後の出社率の上昇を反映できていないことや、金利上昇リスクが過大に織り込まれていることなど、複合的な要因だと考えられる」などと分析した。