(一財)日本不動産研究所は1日、「不動産取引市場調査」(2024下期)の結果を公表した。同研究所は、JREITや東京証券取引所、日経不動産マーケット情報などの公表事例等を独自に集計。01年上期以降、約3万8,000件の取引事例を収集してデータベース化している。
24年下期の不動産取引市場の規模は約3兆2,000億円と、下期の中では最高額となった。
市場規模は07年上期に約3兆1,000億円に至ったが、リーマンショックが生じた08年下期には約1兆円程度にまで縮小。13年上期の金融緩和政策開始以降は大幅に取引が増加し、おおむね2兆円超えの状態を維持した。22年上期に約3兆円に達したものの、その後は金利上昇への警戒感などから取引量が減少。24年上期には約3兆9,000億円と、過去最高額を更新した。
アセットの構成は、オフィスの割合が高水準を維持。また、取引が増加したことから、ホテルの割合が調査開始以来最高割合を記録した。
取引主体については、21年まではJREITが一貫して買い越しを維持し、JREITへの物件集約が進んだ。しかし、22年にはインベスコオフィスジェイリート投資法人の物件売却やJREITの取得金額の減少などにより、買い越しが減少。SPC・AM(私募ファンド等)の買い越しが大幅に増加し、市場の私募化が進む動きも見られた。
23年に入ると、外資系プレイヤーの取得減少などでSPC・AMは売り越しに転じたが、JREITの買い越しは大幅に回復。前期(24年上期)・今期ともJREITの買い越しが続いている一方で、私募REITの買い越し額がJ-REITを上回った。外資系ファンドを中心にSPC・AMも買い越しに転じ、一般事業法人も売り買いがほぼ拮抗している。
外資系プレイヤーの取得金額は、22年上期に過去最高額となる約1兆円となった後、金利上昇の警戒感や海外不動産市場の悪化等から取得量が減少。23年下期の取得金額は約3,400億円にとどまり、4年ぶりに売り越しへと転じた。24年上期も売り越しが続いたが、今期は外資系ファンドによる大型取引が相次ぎ、取得金額・買い越し額とも過去最高額を更新した。