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国土審、「引取サービス」にガイドライン求める声

 国土交通省は7日、国土審議会土地政策分科会企画部会(部会長:中井検裕東京科学大学名誉教授)の会合を開き、土地政策関連の最近の政策等について意見交換を行なった。

 今回のテーマは(1)土地基本方針関連施策の実施状況、(2)空地の管理・利活用に関するガイドライン、(3)不動産の「引取サービス」、(4)令和7年地価公示の4点。国交省がそれぞれについて説明し、それに対して出席した委員が意見を述べた。

 (1)については、2024年6月11日に閣議決定した土地基本方針に関連した施策について進捗状況等を紹介。例えば、低未利用地、所有者不明土地等への対応に関しては、空き地の管理・活用等に関する地方公共団体の取り組み支援や適切な利用・管理の促進について説明。20年以降の500万円以下の低未利用土地の取引件数に関して、27年12月時点の目標141万件に対して23年12月時点で128万件となったことや、全国版空き家・空き地バンクでは参画自治体数。物件掲載数ともに堅調な実績となっていることなどが紹介された。このほかにも地域特性に応じた適正な土地の利用・管理や、不動産市場の環境整備による活性化・流動性の確保に関する内容を説明した。
 これらに対して委員からは、「低未利用地対策はいかに地方公共団体に浸透させていくかが課題」「各事業のコスト対策なども必要ではないだろうか」といったコメントが挙がった。

 また、(3)では、所有者が金銭を支払って事業者に不動産の所有権を移転する「引取サービス」に関して説明。通常の売買と同様に円滑に行なわれている限り特段の問題はなく、現在までに大きな被害等の報告もないという。ただし、取引の安全性確保や一般市場で売却可能であるにも関わらず引取サービスで取り扱われてしまうこと、引取後に適正に管理されない可能性があるなど、懸念事項も指摘されている。業界内での自主規制の動きがあることもあり、同省では、前記した懸念事項に留意する必要があるとして、「必要な注意喚起を検討していくべきではないか」とした。
 これに対して委員からは、「いまの消費者ニーズに合致したものではあるが、問題も多々懸念され、整理すべき点は多い。ガイドラインやルールづくりなど、国が積極的に関与していくべきではないか」「新ビジネスを育成するという意味でもガイドラインが求められる」「まずは実態把握が必要、その上で空き地の管理・利活用に関するガイドラインとセットで対策を考えていく必要がある」などといった意見が挙がった。


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