(一社)DX不動産推進協会は15日、TKP新橋カンファレンスセンター(東京都千代田区)で13回目となる勉強会を開いた。
今回は講師として2024年の都知事選に出馬し、AIを活用した独自の選挙戦で話題を集めたAIエンジニア・起業家・SF作家の安野貴博氏を招き、「1%の変革が未来を創る~生成AI時代のDX戦略~」と題した講演が行なわれた。
安野氏は30歳代の候補者として史上最多の15万票超を獲得した都知事選での「選挙×DX」の取り組みを披露。生成AIを駆使して多くの人の声を集約する「ブロードリスニング」と呼ばれる双方向のコミュニケーションを活用。「マニフェストを公開し、それに対して多数いただいた意見をAIによって集約・分析した。選挙期間の約2週間で、232個の課題提起、104個の変更提案があり、結果として85個の提案を取り入れた。つまり、2週間でマニフェストを85回バージョンアップすることができた」(安野氏)。現在、東京都でも長期ビジョンの策定にブロードリスニングを活用しており、従来のパブリックコメントに比べて、寄せられた意見が桁違いに増加しているという。
また、YouTubeのコメントや電話での個別質問に対して「AIあんの」が回答する取り組みでは、合計約1万件のメッセージにAIが回答。そのログデータも政策の資料にできた。
同氏はDXを進めるに当たり「既存のワークフローをそのままデジタルに置き換えようとするのではなく、ブロードリスニングのような新しい何かを実行するためのワークフローを考えなくてはならない。また、AIでも間違えることはある。そこを人間の手でカバーできるような体制を作るべきでしょう」などと語った。
その後、東京都議会議員で都民ファーストの会幹事長の尾島紘平氏が、東京都のDX戦略である「スマート東京実施戦略」について紹介。都庁内に「デジタルサービス局」を設置し、安野氏がアドバイザーを務める(一社)GovTech東京と連携し、AIを使った部署間連携強化などに取り組んでいるなどと話した。
最後に、同協会代表理事の古木大咲氏が、「機関決定はこれからになるが、当協会は不動産業界でのAI活用について研究を進める目的で『AI不動産推進協会』への改組を計画している」と明らかにした。