(株)矢野経済研究所は24日、国内の戸建住宅市場の現状と将来予測に関する調査結果を発表した。
調査では、2030年の新設戸建住宅着工戸数は、32万1,000戸と予測。23年度比で約1割の減少。今後も人口減少に加えて、建設費や住宅ローン金利は上昇傾向で推移すると考えられることから、国内の新設戸建住宅着工戸数は減少傾向で推移する見込みとした。
国内の新設戸建住宅市場は、人口減少など構造的な要因や、建設費高騰に伴う住宅価格高騰等などの厳しい市場環境から、18年度以降は減少傾向で推移しているものの、建売住宅(戸建分譲住宅)は比較的堅調な市場となっている。住宅価格の上昇に伴い、パワービルダーの割安感のある建売住宅のニーズが増加していることが理由。近年では、注文住宅の販売が主力であった大手ハウスメーカーも、建売住宅の販売を強化する動きも見られる。
近年、戸建住宅は量から質の時代となり、消費者の価値観も多様化。それらへ対応するため、ハウスメーカーでは幅広い商品ラインアップで事業を展開している。なかでも、ZEH住宅等の環境配慮型住宅については、社会的なニーズも高まっている事から、ハウスメーカー各社とも積極的に取り組んでいる。一方で、建設コストの上昇等によって住宅価格が高騰している中、消費者心理の悪化の食い止めを図るため、品質を保ちながら低価格した「規格住宅」に注力しているハウスメーカーが増加しているとした。