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首都圏マンションPER、新築・既存共に大幅上昇

 (株)東京カンテイは7日、2024年の三大都市圏「マンションPER」を公表した。

 「マンションPER」は、同一エリア内で分譲・流通したマンションの価格が、月額賃料の何年分に相当するかを示すもの。同社データベースに登録された物件を対象に、新築・既存(築10年)の販売・流通価格と募集賃料を70平方メートルに換算して算出、駅別に集計した。集計対象は一定のサンプル数がある駅(首都圏:新築103駅、既存254駅、近畿圏:新築81駅、既存104駅、中部圏:新築31駅、既存27駅)。専有面積30平方メートル未満、事務所・店舗用のユニットは除外した。

 首都圏の新築マンションPERは28.93(前年比2.93ポイント上昇)と5年連続で上昇し、過去最高を更新した。集計対象103駅の新築マンション平均価格1億288万円(同17.7%上昇)に対して平均賃料は28万4,192円(同3.2%上昇)。共に上昇したものの、新築マンション価格の上昇幅が大きく上回ったためにPERが大幅に上昇した。

 103駅のうち、PERが26以上となったのは68駅・シェア66.0%(同23.3ポイント上昇)となり、6割以上の駅圏で新築マンションを賃貸した場合に購入価格の回収までに26年以上かかると算出された。PERの分布を見ると、24以上26未満15.5%(同13.7ポイント低下)、22以上24未満13.6%(同1.3ポイント低下)、20以上22未満3.9%(同6.5ポイント低下)、18以上20未満0(同1.0ポイント低下)、18未満1.0%(同1.1ポイント低下)だった。最高値は都営三田線「白金高輪」駅の53.07、最も低かったのはJR京葉線「稲毛海岸」の14.58だった。

 築10年既存マンションのPERは、集計対象254駅の平均で28.87(同2.03ポイント上昇)。PERが26以上となったのは149駅でシェア58.7%(同3.1ポイント上昇)。過去10年の最多シェアの推移をみると、15年は18以上20未満が27.5%、16~20年が20以上22未満、21年が22以上24未満と24以上26未満が同率、22年以降は26以上が最多シェアとなっており、その割合も年々アップしている。最高値は東京メトロ半蔵門線の「半蔵門」駅の67.92、最低値はJR常磐線「北小金」駅で18.64だった。

 「過去10年のPER分布を見ても、既存マンションのPER上昇が顕著。流通価格が急上昇する半面、募集賃料の上昇率は緩やかなため、『麻布十番』や『神谷町』『渋谷』など、駅によっては既存の方が新築のPERを上回るケースもある」(同社)と、これまで「割安感」が指摘されていた既存マンションの優位性が揺らいでいるという見方を示した。

 また、近畿圏のマンションPERは新築が平均24.17(同0.46ポイント上昇)、既存が24.79(同1.06ポイント上昇)。新築の最高値は京都市営地下鉄烏丸線「今出川」駅の35.31、最低値はJR神戸線「姫路」駅の16.21だった。既存は最高値が京都市営地下鉄烏丸線「四条」駅の42.60、最低値はJR阪和線「和歌山」駅の15.51。

 中部圏の平均は新築が24.67(同0.92ポイント上昇)、既存が22.76(同0.26ポイント上昇)。新築の最高値は名古屋市営地下鉄名城線「矢場町」駅の32.52、最低値は同名港線「東海通」駅の19.03。既存の最高値は同名城線「久屋大通」駅の25.58、最低値はJR東海道本線「浜松」駅の17.36だった。


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