国土交通省は2日、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都千代田区)で「PLATEAU全国会議」を開催した。
日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクト「Project PLATEAU(プラトー)」は、2020年度に開始。現在は、これまで生み出してきた「実際に役立つ」サービスを社会に実装すべく、「実証から実装へ」とフェーズを移行し新たな取り組みを展開している。「PLATEAU全国会議」は、その動きを推進するため、地方公共団体でのPLATEAUデータ整備・活用事例、民間事業者発のオープンイノベーション事例を紹介することを目的に開催された。
開会に当たり、PLATEAUコンソーシアム事務局長の関本義秀氏((一社)社会基盤情報流通推進協議会代表理事)が挨拶。「PLATEAUのコミュニティはすでにかなり広いもの。いよいよ大規模な全国会議ということで、(プロジェクトの浸透具合では)第2ステージに入ったと言えるのではないか。公共の現場ではまだまだ『3次元の活用は業務で必要あるのか』といった声が多いのが現状。政策の中で問い続けて、しっかりと認知された業務として全国でやっていくことが大事だ」と話した。
その後、4部構成でイベントが開始された。第1部では「自治体アドバイザリーボード(第1回)」と題し、神奈川県横須賀市が「まちづくり3Dシミュレーション」、福岡市が「『PLATEAU View』による浸水想定区域の3次元可視化」について、モデル整備・活用等に係る取り組み、課題やその対応について情報提供。その後、アドバイザリーボードのメンバーである大学教授らとの意見交換が行なわれた。
第2部では「自治体によるPLATEAU活用事例紹介」として、「3D都市モデルを活用したまちづくり・都市計画立案」(福岡県うきは市)、「延焼シミュレーターの高度化事業」(相模原市)、「PLATEAUを活用したドローン航路作成とデジタル避難訓練」(和歌山県すさみ町)、「津波災害リスクの可視化」(高知県)と、計4自治体が活用例としてプレゼンテーション。第3部では「民間事業者発のPLATEAU活用事例紹介」として、(株)大林組、(株)Loci AI、つくるAI(株)、(株)スペースシフトが登壇。PLATEAUだけで完結するのではなく、他のデータと掛け合わせて新たなサービスを生み出した、民間発ならではの計4事例が紹介された。
第4部では、「Project PLATEAU」の今後について、国交省都市局国際・デジタル政策課長の武藤祥郎氏が説明。「都市や不動産、災害、防災といった分野でマジョリティに使ってもらうため、PLATEAU VISIONのバージョンアップを考えている」と述べた。そのためのキーアクションとしては、「データカバレッジ拡大」(より低コスト・高速なデータ整備を実現する新技術の開発など)、「サービス開発・実装」(民間や行政でPLATEAUを使ってもらう環境整備など)、「オープンイノベーション」(PLATEAUの成果・ビジネスを海外へ展開など)、の三つを挙げた。
同省では今後も、各種補助金制度の整備や行政・民間事業者向けのイベント開催などを通じ、「Project PLATEAU」のさらなる発展を目指していく。