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JARES、「子育てと不動産」テーマに春季シンポ

多くの聴講者が、登壇者らの研究・取り組みの報告に耳を傾けた

 (公社)日本不動産学会(JARES)は6日、日本大学経済学部3号館(東京都千代田区)にて、2025年度春季全国大会シンポジウムを開催した。

 シンポジウムに先立ち、31回目となる24年度「業績賞」の表彰式を実施。受賞者に関しては4日のニュースを参照。今回、国土交通大臣賞を受賞した都市居住推進研究会と(株)八清による「中堂寺前田路地再生長屋プロジェクト」、および日本不動産学会長賞を受賞した東京建物(株)の「本堂 曳家×ホテル 複合開発」、(株)ザイマックス総研の「不動産業界の将来のリーダー育成を目的としたからくさ不動産みらい塾」に対して、表彰状を送った。
 国土交通大臣賞を受賞した都市居住推進研究会会長の髙田光雄氏は、「今回のプロジェクトは、京都のまちなかで子育て世帯が住み続けられるように袋路を活用したもの。創立以来30年以上にわたって積み重ねてきた成果であり、今後も実績を積み重ねていきたい」などと述べた。

 表彰式後に開催されたシンポジウムのテーマは「子育て環境を考える―住まいと不動産」。急速に進展する少子化の中で、子供たちを健全に育てる環境はどうあるべきか。子育てする上で最も身近な環境である住まいや不動産がどうあるべきかという視点で情報共有を図った。

 シンポジウムでは、住宅のハードから、行政の取り組み、地域環境づくり、社会参加の仕掛けについて、幅広い内容の講演を実施。国立研究開発法人建築研究所理事の長谷川 洋氏が「子育てに配慮した住まいづくり」と題して国の支援制度や地方公共団体の先進事例等を紹介。愛知県豊田市こども・若者政策課副課長の矢藤 亜矢子氏は、25年1月に「ユニセフ型日本型CFCI実践自治体」に承認された同市の取り組みを紹介した。このほか、(独)都市再生機構ウェルフェア推進部連携構築課長の野村 淳氏、(株)C&Yパートナーズ代表取締役の土肥潤也氏がそれぞれ研究成果や取り組みについて報告した。
 これらを受け、横浜市立大学大学院教授・こども環境学会副会長の三輪律江氏が「子供を育む環境としてのまちの課題」について講演。子供たちが多様な主体を巻き込みながら、子供の成長につれて広がっていく「顔の見える関係」の資源を活用して育っていくことが必要であり、そのための場の設定とまちのマネジメントが重要だと話した。

 その後、東京都市大学名誉教授・同学会副会長の室田昌子氏をコーディネーターに、登壇者らによるパネルディスカッションも行なわれた。


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