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西武不他、290億円投じ軽井沢のコテージ刷新

新たに設ける「センター棟」のイメージ。ヴィラのフロント機能のほか、スパやサウナ、レストランなどのサービス施設を備える
イーストエリアヴィラのイメージ。全棟に温泉を配湯。薪ストーブも設置する

 (株)西武不動産は16日、同社が保有し(株)西武・プリンスホテルズワールドワイドが運営する「プリンスグランドリゾート軽井沢」(長野県北佐久郡)内にあるコテージ群(233棟)をリニューアルすると発表した。2025年2月に実施した「東京ガーデンテラス紀尾井町」流動化で得た資金の一部(約290億円)を投じる「キャピタルリサイクル(物件の流動化とその資金を用いた再投資の継続的実施)」の一環。

 同施設は、「軽井沢プリンスホテル」敷地のイーストエリア(97棟)、ウエストエリア(136棟)に立地。完成から50年以上経過するコテージがあることや、平均55平方メートルという広さで多人数宿泊を受け入れることが厳しいこと、設備も現代のニーズと乖離していること等から、抜本的なリニューアルを行なう。

 建築家の坂 茂氏がリニューアルの設計を担当。既存樹を残し地形を生かしたランドスケープデザインとする。床面積を平均88平方メートルまで拡大。イーストエリアは97棟から41棟に、ウエストエリアは136棟を83棟と減らし、ゆったりと配棟。イーストエリアは10棟、ウエストエリアは79棟を既存建物の増改築とし、環境負荷も軽減する。また、施設のグレードアップに伴い、呼称もコテージから「ヴィラ」へ変更する。

 イーストエリアは、愛犬家やスキー客(ファミリー)、ラグジュアリー層、ウエストエリアは多世代ファミリー、ゴルファー、インバウンドなどのグループ客と、それぞれターゲットを変えた施設とする。イーストエリアにはヴィラのフロント機能、レストラン、サウナ、スパ、屋内ドッグラン等を備えるセンター棟を新設。ヴィラ全棟に温泉を配湯するほか、薪ストーブを設置する。

 ウエストエリアは、最も標高が高く浅間山ビューが楽しめるエリアに、広さ260平方メートルのヴィラ4棟を新築。サウナ、ジム、スパトリートメントルームを備え、バトラーサービスも行なうなど、富裕層やインバウンドのニーズに応える。その他施設も、リビング面積を拡大するなど、使い勝手を向上させる。

 リニューアル完了は、イーストエリアが27年5月。ウエストエリアは、28年春以降順次開業させる。同日会見した西武不動産リゾート開発事業部長の江口将裕氏は「軽井沢は、西武グループの原点・源流である特別なエリアであり、その開発の歴史は100年以上に及ぶ。軽井沢プリンスホテルなどリニューアルを順次進めてきたが、コテージは築50年の建物もあり、多様化するニーズとの乖離が生じていた。立地の優位性という軽井沢の潜在価値の強みを施設のバリューアップで引き出し、持続的成長を目指す」など抱負を語った。

 同社は軽井沢の千ヶ滝エリアでも、野村不動産(株)と協業し、約22haに及ぶ大規模リゾート複合開発を計画・推進中。また、富良野、日光、箱根、川奈など全国各地のリゾートエリアでも、キャピタルリサイクルの手法で、既存施設のリニューアルや新規施設開発を進めていく方針。

ウエストエリアには最も眺望の良いエリアに最大広さ260平方メートルのヴィラ4棟を新築する


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