不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

東急他、大田区のシェアハウスで漫画家育成

「トキワソウルーム」として運営される「スタイリオウィズ上池台」外観
居室内部。マンガクリエイターは机や椅子にこだわりがあるため、机と椅子は希望者のみ設置する

 東急(株)は18日、特定非営利活動法人LEGIKA(以下、LEGIKA)との協業で運営するマンガクリエイターの生活交流拠点「上池台トキワソウルーム」(東京都大田区、全55室)を報道陣に公開した。クリエイターや学生がシェアハウスで共同生活を送りながら漫画家デビューを目指す。創作活動や交流をさまざまなハードやソフトで支援する。

 同物件は、都営浅草線「西馬込」駅徒歩14分、東急池上線「洗足池」駅徒歩16分に立地。鉄筋コンクリート造地上5階建て。(株)東急ストアが保有する社宅(1975年築)を、東急が2014年にリノベーションし、シェアハウス「スタイリオウィズ上池台」として運営してきた。

 LEGIKAは、首都圏中心に一戸建てや団地等を借り上げ、マンガクリエイターを目指す人達を共同生活させるマンガ家育成支援事業「トキワ荘プロジェクト」を展開。現在6棟を運営し、各施設で60名が共同生活を送っている。現在の入居者の2割強が漫画雑誌での連載経験があり、6割強が各種賞の受賞経験があるなど成果をあげている。今回も、LEGIKAが東急のシェアハウスを借り上げて賃貸、コミュニティ支援など運営を主体的に手掛けていく。同社の「トキワソウルーム」では最大規模かつ、最大の共用部を持つ施設となる。

 専有部・共用部の多くは、従前のシェアハウス時代のままとしながら、一部をブラッシュアップした。居室は3~5階に配置。面積は8平方メートル(52室)または16平方メートル(3室)。8平方メートルの居室のうち34室は、2名または4名で共同利用する「アトリエ」が使用できる。居室に水回りはなく、エアコン、ベッド、物干しポール、収納棚などが付き、希望すれば机と椅子も設置される。
 エントランスがある2階フロア(500平方メートル)に、キッチン、ラウンジ、24時間オープンのコワーキングスペース、畳小あがり、個人ロッカー、ストッカー、シャワールーム、ランドリー、トイレなどの共用施設を集中して配置。各階にもトイレ、ランドリー、洗面所を設けた。5階は女性専用フロアとする。

 施設内各所で自然発生するコミュニティに加え、LEGIKAが入居者のコミュニティ形成を促していく。志向性の近い入居者同士を同じアトリエにしたり、一流編集者を招いての作品講評会や、他の「トキワソウルーム」入居者との交流会なども定期的に開催していく。また、「トキワソウルーム」では初めて日本工学院と提携して学生の入居を受け入れる。

 7月1日のオープンに向け、入居者を募集していく。賃料は月額4万6,000~5万9,500円(別途管理費1万3,500~2万円)。共用施設は全て無料で利用できる。すでに10室以上の入居者が決まっている。同日会見したLEGIKAの小崎文恵理事長は「クリエイターの仕事や成長にとって落ち着いた生活空間は大事だが、それだけだとパフォーマンスは落ちていく。ここでは、コワーキングスペースを使って仕事をしてもらったり、入居者同士で交流したりと、自分が好きな環境で創作に打ち込める。過去の入居者に共用部を開放するなど、今までにないサポートにもチャレンジしていく」と抱負を語った。

希望すれば2~4名共同で「アトリエ」を利用することも可能。似たような志向性のクリエイター同士が刺激しあう場としても機能させる
共用部の多くは従前のシェアハウスのものをそのまま利用。キッチンも改修はしていない
「部屋で仕事をしたくない」ときに24時間利用できるコワーキングスペース。最大18名まで同時利用が可能


最新刊のお知らせ

2025年7月号

定住・関係人口増加で空き家も活用? ご購読はこちら