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断熱・省エネリフォーム推進へ業界横断のTF

TF参加企業・団体の代表者たち(左から4番目が代表事業者の住友不動産・岡田氏)

 住友不動産(株)が代表事業者、三協立山(株)、住友不動産ハウジング(株)、(株)LIXIL、YKKAP(株)、住宅開口部グリーン化推進協議会、JBN・全国工務店協会が参画する新団体「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース(TF)」が、30日発足した。2050年のカーボンニュートラル達成、30年のCO2排出量削減目標の実現に向け、家庭部門CO2排出量削減に効果的な断熱・省エネリフォームの普及促進に、デベロッパー、リフォーム会社、窓サッシ企業、業界団体が連携して取り組んでいく。

 環境省が推進する「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)」の一環。現行の省エネ基準を満たしていない住宅ストックが8割を超え、家庭部門CO2排出量の約4分の1を冷暖房が占める中、断熱・省エネリフォームの普及拡大が喫緊の課題となっているが、消費者への情報発信不足や認知度の低さ、施工事業者の不足、施工コストの高さなどから、なかなか普及が進まない。そこで業界横断のTFにより課題の共有と個社の取り組みを超えた統合的なアプローチを図り、官民連携で普及促進に取り組む。

 断熱リフォームが、省エネ・省CO2の実現だけでなく、安心安全快適な住空間の実現にもつながるということを伝えるべく「家族の幸せまずは断熱」というスローガンを掲げ、活動を展開していく。「消費者向け認知拡大」「営業力強化」「技術力強化」の3つの分科会を設置。体験型イベント、特設ホームページ、動画コンテンツなどを通じた情報発信、啓発活動を展開。セールストーク動画やマニュアル作成による営業担当者のスキルアップや支援体制の整備や、断熱・省エネリフォームの研修会・施工マニュアル作成などによる施工技術の標準化と、施工事業者の拡大を図る。

 今年10月から、普及啓発イベントを東京から展開。全国へと拡大する。今後も、ディベロッパーやリフォーム事業者等の参加を呼び掛ける。当面は特に改修効果の高い「戸建住宅」の断熱リフォーム普及を目指すが、マンションなど共同住宅に住むユーザーにも普及啓発を図る。

 同日、代表事業者として挨拶した住友不動産常務執行役員の岡田時之氏は「断熱リフォームは、環境負荷の低減と省エネ性・快適性の向上を同時に実現できるが、PR不足からそれが世間には知られていない。業界の垣根を超えた取り組みで、脱炭素社会と豊かな暮らしの実現を図り、持続可能な社会の実現に貢献したい」などと抱負を語った。

TF参画企業のLIXILの「住まいStudio東京」の断熱リフォーム体験ブース。断熱性能の異なる3つの室内を再現し、外気温0度の状態でエアコンを稼働し、室内環境の違いを体感できる。写真は「断熱等級6」相当の室内。サッシは樹脂枠、アルコンガス封入の複層ガラスで、床や天井の断熱も強化されている
断熱性能の違う3つの室内をサーモグラフィカメラで撮影したもの。上が断熱等級6相当の室内で、同じエアコン設定でも室内全体が暖かい。断熱性能の劣る2つの部屋は床や天井、窓の温度が低く、外気の影響を受けているのが分かる。また、サッシ枠や床と壁の境目などの熱橋部分からも熱が逃げている


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