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首都圏既存M価格、売り主の強気姿勢が鮮明に

 (株)東京カンテイは31日、2024年度の首都圏既存マンションの売出価格と取引(成約)価格の価格乖離率を公表した。

 同社データベースに登録されている既存マンションの売出価格と成約価格の差額から算出。売り出しから成約まで12ヵ月以内の物件を対象とした。乖離率がプラスになることはごくまれであるため、マイナスになるケースのみを対象としている。

 24年上期は、1戸当たりの平均売出価格が5,069万円だったのに対して成約価格は4,847万円となり、価格乖離率はマイナス4.38%と前期から1.85ポイント改善。24年下期は売出4,871万円・成約4,667万円の価格乖離率マイナス4.19%とさらに改善した。コロナ禍で購入ニーズが高まった21年の水準(上期マイナス4.63%・下期マイナス4.55%)をさらに上回り、15年以降最も乖離が小さくなった。また、売り出しから成約までの平均期間を調べると、24年上期が5.10ヵ月、同下期が5.11ヵ月と15年以降で最も長期化し、15年以降初めて平均5ヵ月を超えた。

 同社では、「市場からは、相場よりも高く設定した“チャレンジ価格”で売り出しても買い手が付く状態だという声も聞かれる。建築コストの先高観や、歴史的な円安を背景に、売り主・仲介会社が共に強気の姿勢を長期間にわたって維持している」と分析した。

 この傾向は、成約期間ごとの乖離率からも見て取れ、売り出しから成約まで12ヵ月かかった場合でも、価格乖離率はマイナス4.69%と5%以内を維持した。「1回目の媒介契約が更新された直後の成約期間4ヵ月の場合は乖離率マイナス6.54%、5ヵ月がマイナス5.77と、比較的売り急いだ傾向がみられるが、その後はマイナス3~4%台で推移している。25年はこうした動きがさらに加速しているという声も上がっており、価格乖離率の縮小はさらに進みそうだ」(同社)。


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