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住宅建設技能者の持続的確保でとりまとめ骨子

 国土交通省はこのほど「住宅分野における建設技能者の持続的確保懇談会」(座長:蟹澤宏剛芝浦工業大学建築学部建築学科教授)の4回目となる会合を開き、これまでの議論を基にしたとりまとめ骨子をまとめた。

 住まいに求められる性能が上がり、住宅の供給・維持管理に携わる大工等の担い手の役割も増える一方で、担い手の高齢化等から、今後、住宅の安定的な供給や適切な維持管理が困難となることが懸念されている。同懇談会では、質の高い住まいの安定的な供給・適切な維持管理が行なわれる社会の実現に向け、「住宅建設技能者」の持続的確保のため取り組むべき課題について、ハウスメーカーや工務店などを対象にした実態調査などを踏まえ議論してきた。

 とりまとめ骨子では、木造住宅の担い手である大工就業者数(2020年)は約30 万人と、20年間で半減していることや、住宅建設技能者の減少率と高齢化率は、建設業従業者全体より大きいことなどを指摘。35年には大工就業者数が約15万人と20年から約半減するという推計や、大工の約7割が50歳代以上になるという推計などを示した。

 これらを受け、住宅分野の建設技能者の確保に向け今後取り組むべき課題について、まず入り口となる「入職者の増加」、技能者の定着を進め、離職率を減らすための「職場環境や将来見通しの整備」に加え、なお担い手不足が生じる場合の「住宅建設の省力化・効率化」を図る必要があるとした。

 入職者を増やすための取り組みでは、若年層に向けた住教育の一層の推進によるモノづくりの魅力発信、業界横断的な入職者確保に向けた取り組みを支援する協議会の整備、女性が働きやすい住宅生産現場の実現などを挙げた。職場環境や将来の見通しの整備では、給与や休暇、社会保険など他産業に劣らない就労環境整備や社員大工化の促進、住宅建設技能者のキャリア形成の見える化、たな時代に応じた工務店のビジネスモデルや働き方のロールモデルの提示などを挙げている。

 同省では、懇談会でとりまとめた現況・今度の見通しや取り組むべき課題を踏まえ、今後目指すべき将来像や取り組みの方向性を整理した「住宅建設技能者の持続的確保に向けた中長期ビジョン(仮称)」の策定等が必要としている。


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