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築地市場跡地開発で基本計画。「水都東京」を再生

「築地地区まちづくり事業」全体図(イメージパース)

 三井不動産(株)を代表企業として、トヨタ不動産(株)、(株)読売新聞グループ本社を中心に設立された特別目的会社である築地まちづくり(株)は22日、「築地地区まちづくり事業 基本計画」を発表した。

 同事業の活用都有地面積は約19万平方メートル。大規模集客・交流施設(マルチスタジアム)、ライフサイエンス・商業複合棟、MICE・ホテル・レジデンス棟、舟運・シアターホール複合棟など計9棟・総延床面積約126万平方メートルを開発し、2030年代前半以降に開業する。総事業費は約9,000億円。

 基本計画では、整備方針の基本的な考え方を「ONE PARK×ONE TOWN(ワンパーク ワンタウン)」に決定。「自然と都市の活動の2つが共生・調和・発展し、社会的価値を創出するまちづくりを目指す」とした。

 「ONE PARK」では、隅田川や浜離宮恩賜庭園と一体的に緑地・広場を整備し、水と緑豊かな空間を創造することを企図。シンボリックな景観デザインを採用することで、築地の歴史の継承と日本の伝統の表現を目指す。また、合計約10haのオープンスペース・水辺空間を整備し、老若男女問わず多くの人が集い、くつろいだりさまざまなアクティビティを楽しめる場とする。さらには、周辺資源と調和するプロムナードの形成、築地をハブとした舟運ネットワークの構築により、「水都東京」の再生を推進していく。

 「ONE TOWN」は、銀座から続く文化・芸術の流れや、築地場外市場の食文化、新橋・汐留のビジネス拠点、計画地に隣接する医療施設等との連携により、交流と感動、イノベーションを起こす都市の活動を表現したもの。大規模集客・交流施設の拠点として、可変性と多機能性を備えた約5万人収容の屋内全天候型施設を整備するほか、日本の食文化を継承・発展させるべく、築地場外市場と連携したフードホールを設置。迎賓・ホスピタリティ機能を満たすMICE施設や、国賓やVIP、高度人材等を迎え入れることが可能な宿泊・滞在・居住施設、ライフサイエンス分野をはじめとする高度人材・情報が集積するイノベーションプラットフォームの構築により、「国際競争力の強化」に資するまちづくりを推進する。

 デザインモチーフには、かつての築地市場が貨物列車を引き込むために扇形状だったという歴史的経緯に加え、調和や末広がり、繁栄を意味することから「扇」を採用。「陸・海・空」の視点から、象徴的な景観を創出するとしている。

 また同事業では、地下鉄新駅、バス・タクシー等に加え次世代モビリティ、舟運、空飛ぶクルマやヘリポートなど陸・海・空の多様なモビリティをつなぐ広域交通結節点を形成。同エリアにはフードホールやデジタルサイネージ等も導入し、にぎわいと交流機能を備えた空間とする。

 26~27年度に、地元支援に資する機能やオンサイトの情報発信拠点となる暫定施設を開業。29年度には舟運・シアターホール複合棟が開業し、30年代前半にまちびらき1期、後半に2期を予定している。40年代には高速晴海線や地下鉄新線新駅などといった交通インフラの完成を見込む。

 今後、築地まちづくり公式ウェブサイト等を利用し、まちづくりのコンセプトや取り組み状況について都民等への積極的な発信を行なうとともに、意見を受け付ける機能を設ける。


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