国土交通省は26日、令和8年度の予算概算要求を発表した。
一般会計予算は7兆812億円(前年度比1.19倍)。一般会計のうち、公共事業関係費が6兆2,403億円(同1.19倍)、非公共事業が7,992億円(同1.18倍)。東日本大震災復興特別会計が367億円(同0.60倍)、財政投融資が1兆6,413億円(同1.23倍)となった。
住宅局関係では、重点施策として(1)住まい・暮らしの安全確保、良好な市街地環境の整備、(2)既存ストックの有効活用と流通市場の整備、(3)誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保、(4)住宅・建築物における持続可能な社会の構築、の4点をポイントとして掲げた。要求・要望する予算額は約2,068億円(同1.20倍)。
(1)については、南海トラフ巨大地震の新被害想定などを踏まえた防災・減災対策の着実な実施を図る。耐震性が不十分な建築物のおおむね解消という目標達成に向け、耐震診断や耐震改修・除却・建て替え等の支援や地域の住宅生産事業者らの事前対策などを含む住宅建築物防災力緊急促進事業として132億円を要望する。
(2)に関しては、住宅購入希望者が安心して取引できる環境を整備するため、既存住宅流通量の増加・住宅取引時の情報開示、消費者支援体制整備などを含む住宅ストック循環促進事業として新規に3億7,400万円を要求する。また、マンションの「2つの老い」対策として、マンションの長寿命化等に資する先導的な取り組みや地方公共団体の老朽化マンション対策への支援として40億円の要求を盛り込んだ。このほか、空き家等が急増するおそれのある住宅・宅地の有効活用することで子育て世帯等が暮らしやすい環境整備に向けた予算や、総合的な空き家対策を支援するための予算も要求する。
(3)では(独)都市再生機構が管理するUR賃貸住宅を活用した近居による子育て支援の拡充・延長、サービス付き高齢者向け住宅の整備などが盛り込まれた。(4)においては住宅・建築物の省エネ改修促進に向けた予算や、2050年カーボンニュートラルの実現を見据えた建築物のサステナブル化に向けた予算の拡充を要求していく。
不動産・建設経済局関係では、(1)地理空間情報の充実と「建築・都市のDX」の推進、(2)土地政策の推進、(3)建設・不動産市場の環境整備の3点を中心に191億7,300万円の予算化を要求する。
(1)は国土数値情報をはじめとした地理空間情報の充実・産業化に前年度の2.78倍に当たる3億6,000万円を要求。さらに「不動産ID」の整備促進費として1億円を新規で要望している。
(2)では、所有者不明土地・低未利用地の円滑な利活用や適正管理の推進として、前年度の1.16倍に当たる7,300万円の予算要求を盛り込んだ。また(3)では、地域価値共創に向けた空き家等の流通・利活用に3,000万円、不動産管理業の適正化・発展に向けて2,000万円を要求していく。さらに、不動産市場の透明性向上に向けた不動産取引情報の提供・実態把握等に関して2億1,500万円を求める。