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心理学とAIを掛け合わせたカスハラ対策の研究と実践を発表

 コンバージングテクノロジー研究会は26日、東洋大学白山キャンパスおよびオンラインで「第3回コンバージングテクノロジー研究大会」を開催した。

 コンバージングテクノロジーとは、特定の目的を達成するために、複数の異なる分野を収斂する技術のこと。
 同研究会は、デジタル技術と心理学の知見を相互に取り入れることで新たな研究領域を広げることや、心理学の社会実装などを目的として2023年に発足した。代表は桐生正幸氏(東洋大学社会学部教授)が務める。
 同氏および今回の研究大会で講演した島田恭子氏((一社)ココロバランス研究所代表理事)は、共に『月刊不動産流通』の連載記事「大切なお客さまと良好な関係を! カスハラ相談室」に寄稿している。

 島田氏の講演テーマは「カスハラ対策における心理学×AIの応用研究と実践」。同氏は、94.2%の人がカスハラを受けると心身の変化を起こすという。また、カスハラを受けてストレスを感じる理由は、(1)カスハラそのもの、(2)カスハラを受けた際に周りから助けがなかったこと、(3)自分へのふがいなさ・自責感によるものの3つがあると解説。
 カスハラを起こさないためには対応者に高い対応力とストレスマネジメントを持つことが求められるが、経験の浅い社会人がそれらを兼ね備えるのは難しい。そこで、心理学と生成AIを掛け合わせることでカスハラ対応の練習ができるカスハラ体験AIツールの考案に至った。
 同ツールの概要および実証実験については、富士通(株)の岩崎 翔氏が紹介。コールセンターでの実証実験の結果、同ツールによってカスハラを疑似体験した人の方が、顧客対応力のスコアが向上するなどといった効果があったという。

 同大会ではこのほか「『総合知』に着目した科学技術・イノベーション政策のデザイン」(科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー・山本 里枝子氏)など、合わせて5つのテーマで講演が行なわれた。

 大会の最後には、桐生氏が「幸せに対する価値観が変わってきた中で、『私たちの幸せとは一体何なのか?』というところをしっかりと考えていくことが『総合知』(多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むこと)の最終目的ではないかと考えた」などと総括した。


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