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東急PS、家庭用蓄電池1,000台を無償配布

「てるまるでんちプロジェクト」で無償配布する蓄電池。充放電を同社が遠隔制御することで設置家庭の電気代を削減する

 (株)東急パワーサプライは28日、大規模社会実装事業「てるまるでんちプロジェクト」を始動。同日より、プロジェクト参加世帯の募集を開始した。1,000世帯に家庭用蓄電池を無償で配布(約10年間無料で貸与)し、同社が蓄電池を遠隔制御。設置家庭の電気代削減と災害時の電力確保、都市レジリエンスの強化へ貢献する狙い。

 東京都の家庭における蓄電池導入促進事業の助成金を受け実施するもの。コストや設置場所等の制約で太陽光発電が設置できない家庭に、同社負担でオムロンソーシャルソリューション(株)製の容量12.7kwhの家庭用蓄電池を設置。同社のクラウドシステムを用い、東急パワーサプライが1,000台の蓄電池の充放電を制御する。

 電気料金の安価な時間帯に充電、電気料金が高い時間帯に蓄電池の電力を使うことで、電気代を削減する。同社試算では、年間電気代約3万3,000円の削減効果があるとしている。災害や事故による停電時に備え、常に30%以上の容量で運用。停電時は自立運転に自動で切り替わり、約34時間連続運転する。また、電力需給がひっ迫した時などは、系統電力側に「逆潮流放電」を行なう。東京都のデマンドレスポンス(デジタル技術により充電・放電のタイミングを最適化する)実証事業にも参加する。

 参加対象となるのは、都内の一戸建て(新耐震建物)に住む家庭。太陽光発電やエネファームなどの発電設備を設置していないこと、屋外に蓄電池を置くスペースがあることなどが条件となる。また、同社が充放電制御を行なうことへの承認と、市場価格により電気料金が変動する同社の「ライフフィットプラン」への加入が必要。設置工事は無料。10年間の貸与期間中の保守点検も同社が無料で実施する。貸与期間終了後には蓄電池は無償譲渡される。受付台数が1,000台を超えた段階で受付終了となる。

 同社は、1,000台の蓄電池を機動的に群制御することで、家庭用蓄電池を市中におけるVPP(仮想発電所)として活用。電力需給がひっ迫する場面等での電力安定化に寄与させる。同日会見した同社代表取締役社長の村井健二氏は「停電のない暮らし、ライフライン維持に不可欠な蓄電池を“当たり前の生活インフラ”として体験してもらいたい。災害時の電力確保と電気代節約というご家庭への貢献に加え、都市型仮想発電所の構築により、災害に強いスマートでサステナブルな暮らしの実現にも貢献できれば」などと抱負を語った。

「停電のない暮らし、ライフライン維持に不可欠な蓄電池を“当たり前の生活インフラ”として体験してもらいたい」と話す東急パワーサプライ代表取締役社長の村井健二氏


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