(一社)優良ストック住宅推進協議会は8月29日、九段会館テラス(東京都千代田区)にて総会を行ない役員改選を実施。新理事による理事会を経て、会長に芳井敬一氏(大和ハウス工業(株)代表取締役会長)が就任した。
同協議会は、住宅メーカー10社および関連不動産流通会社が参加。住宅履歴の整備や50年以上の長期点検・補修制度の維持などといった基準をクリアした会社が供給した戸建住宅を「スムストック」と呼称。独自資格である「スムストック住宅販売士」が査定を実施し、仲介・買取再販を行なっている。
総会後には芳井氏らが記者会見し、活動状況等を報告。会見の冒頭、芳井氏が就任に当たって「新設住宅着工戸数は非常に厳しい状況だ。一方、不動産市場では、既存住宅の流通が好調に推移しており、今後も既存住宅流通市場の拡大が期待される。そうした中、当協議会は設立18年を迎え、成約件数や会員10社の既存住宅補足率といった面で、大きな成果を上げることができた」などと挨拶した。
24年度(24年7月~25年6月)のスムストック成約件数は2,262件(前年比8.2%増)と過去最高を記録。会員10社の戸建て建築実績約407万棟の年間流通率を0.3%として年間の推定流通数を1万1,500戸棟と推計して試算すると、会員10社の流通捕捉率は約19.7%と過去最高となった。累計成約数は2万1,989件と、2万件を突破した。同協議会では、この要因についてウェブ広告などを通じた認知度向上施策や買取再販型のスムストック推進、会員各社の取り組み強化などが奏功したと分析。「かつてスムストックとして流通した物件が、再びスムストックとして成約する、三次流通・四次流通の事例も報告されている。今後は何らかの形で集計することも検討していく」(事務局)。なお、24年度は買取再販型のスムストックが406件(同8.5%増)と、初めて400件を超えた。
平均的な成約物件は、築年数19.1年・延床面積128.71平方メートル・建物成約額は1,174万円(新築時価格の約47%)となった。また、築年帯別の建物価格の平均値は築5年以内が2,310万円、6~10年が1,900万円、11~15年が1,448万円、16~20年が1,055万円、21~25年が825万円、26~30年が684万円、31年以上が486万円。築21年以上でも、平均682万円で成約している。
25年度については、買取再販も含む既存住宅の推進をさらに強化し、流通捕捉率25%を目標として設定。認知度向上策として、ウェブ広告の展開やロゴマニュアル整備、ブランド調査などを行なっていく。また、安全・安心のレベルアップを目指し、「売買時の承継に関するガイドライン」の改訂を検討していくという。
芳井氏は、「捕捉率25%を目指すには、認知度向上なども重要だが、会員各社が自社住宅のオーナーとのリレーションを強化していくことも重要だ」などと語った。