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万博効果鮮明に。都市特性評価、大阪が5年連続1位

 (一財)森記念財団・都市戦略研究所は2日、「日本の都市特性評価(JPC)2025」の結果を発表した。政令指定都市・県庁所在地および人口17万人以上の国内136都市および東京23区を対象に、「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野87指標について、各種公的データやアンケート調査を基にしたスコアで評価したもの。

 総合トップは、5年連続で「大阪市」となった。経済・ビジネス、文化・交流で高い評価を維持。同財団理事で明治大学名誉教授の市川宏雄氏は「建設投資や文化・交流をはじめ、国際イベントの開催はさまざまなスコアに好影響を与える。大阪は、数年前からすでに万博でパワーアップしていた。環境面など弱みも抱えているが、強みがそれ以上に突出している」と分析している。

 2位は前年同様「名古屋市」で、学術と交通、生活居住で高いスコアを得た。3位は前年5位の「福岡市」で、ビジネス活力と国際交流力に一極集中している。4位は前年3位の「横浜市」。観光資源と経済力が両立しているほか、その他の指標も突出して低いスコアがなく「バランス型の模範となる都市」(市川氏)。5位は前年4位の「京都市」。財政面で課題を抱えるものの、文化・交流分野でトップ、研究・開発分野で2位と文化・学術都市としての魅力は高い。

 以下は6位「神戸市」(前年:6位)、7位「仙台市」(同:8位)、8位「金沢市」(同:7位)、9位「札幌市」(同:13位)、10位「つくば市」(同:8位)。トップ10の顔ぶれにほぼ変化はなかった。札幌市は、環境の指標の一つ「気温・温度が快適な日数」が「夏の涼しさ」へ定義が変わったことで、129位から3位へ上昇し、環境分野を大幅に上昇させたことが要因。

 地方都市では、水辺を生かしたまちづくりや地元企業との地方創生の取り組みで、インバウンド獲得に成功した「盛岡市」が22年の59位から30位にアップ。道後温泉などの景観を生かしたまちづくりに取り組む「松山市」が18年の59位から33位にアップ。官民連携によるリバーフロントのまちづくりに注力し、大河ドラマの舞台にもなった「岡崎市」が20年の46位から34位とアップしている。「インバウンドの訪問都市は東京と大阪が圧倒的で地方にはその10分の1も行っていない。地方の素材をインバウンドにどのように紹介していくかは課題」(同氏)。

 一方、東京23区の総合トップは2年連続で「港区」。文化・交流でのトップをはじめ、卓越した総合力を発揮した。2位は僅差で「千代田区」、3位は「中央区」だった。

 今回の調査結果を受け、市川氏は「急激な人口減少と少子高齢化、インフラの老朽化、環境変化など、複合的な課題に直面する中で、各都市がいかに持続可能性と魅力を両立させていくかは、これまで以上に重要な課題。外国人人口の増加や観光客数の過去最高記録は、都市の国際化対応力や多文化共生の在り方を問うものとなっている。また記録的猛暑の頻発は都市の環境適応力や住民の生活品質維持において新たな指標の必要性を示唆している」等と総括した。


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