パナソニック ホームズ(株)は1日、独自の地震被災リスク推定システム「P-HARES(2025年度版)」(ピーハーレス)の試験運用を開始した。
同システムは、大規模地震災害が発生した際に過去に同社が施工した住宅(専用・集合)の支援・復旧を迅速化・効率化するために開発。国立研究開発法人防災科学技術研究所(防科研)が、地震発生後に公表する強震観測網の強震記録を基に、被災地域における建物被害レベルを判定し、それを同社の顧客データベースと連携して地図上に表示することで、建物被害レベルに応じた迅速な復旧対応を可能とする。
23年9月1日に運用を開始した「23年版」では、防科研が設置する強震計の記録を用いて、ピンポイントで被災リスクを推定していたことから、強震計から離れると適切に推定することが難しかった。今回試験運用を開始した「25年版」では、(株)構造計画研究所が提供する地震動マップ推定システム「QUIET+」を活用。ピンポイントではなくエリア単位でリスクを推計・表示できるようにした。
被災リスクについては、同社が持つ「F構法(軽量鉄骨パネル工法)」「HS構法(軽量鉄骨軸組構法)」「NS構法(重量鉄骨ラーメン構法)」の3構法で、地震によって建物の構造体が損傷するリスク(地震時変形量)を5段階で示す。なお、地震動の波形タイプによる各構法との「相性」も反映させている。
対象は、過去に同社で新築した戸建て・集合住宅の現在のオーナー。売却されオーナーが変わった場合でも支援対象となる。震度6弱以上の地震が発生した場合に、気象庁の緊急地震速報に基づいて本社が同システムを実行、判定結果を確認し、何らかの建物損傷の可能性があると推定される「ランク3」以上の推計が出た場合に地図システムにデータを落とし込んで現地スタッフに共有する。
同社は2日、メディア向けの説明会を開催。システムについて説明した同社技術部構造・地盤技術課課長の山形秀之氏は、「災害時にオーナーサポートを行なうのは住宅供給者としての使命。過去の大規模地震の試験運用では、お客さまから迅速な対応をご評価いただいた。今後については液状化リスクを推計するシステムも盛り込んでいきたい」などと話した。