三井不動産(株)と(株)オリィ研究所(東京都中央区、代表取締役:吉藤 健太朗氏・笹山正治氏)は11日、遠隔操作型ロボット「OriHime」を活用した「OriHime 日本橋ガイドツアー」を開始すると発表した。
オリィ研究所は、障害や病気などを理由に自由に動くことができない「移動困難者」の社会参加を支援するスタートアップ企業。「OriHime」は同社が開発・提供しているロボットで、高精細なカメラとスピーカー、6つの関節を搭載している。遠隔地にいるパイロット(操作者)がロボットを操作し、リアルタイムな会話や仕草を交えながらコミュニケーションを取ることができる。
三井不動産は2021年から、オリィ研究所の本社開設および「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」の開業を通じ、外出や就労が難しい人の社会参加を支援してきた。これまで「OriHime」は屋内の特定の「場」でのみ利用されてきたが、今回のサービス開始により、活用場面を日本橋エリアという「面」へと展開。さらなる活用機会の創出から就業機会の拡大へとつなげ、「移動困難者」と社会との接点をより広げていくことを目指す。
「OriHime 日本橋ガイドツアー」では、参加者は、バッテリーが入ったリュックに取り付けられた「OriHime」を介したパイロットの案内により、日本橋の名所や老舗商店などを巡っていく。形式的な案内にとどまらず、会話をしながら歩くことで、一緒にまちを巡っているかのような感覚での観光体験が可能となっている。予約は「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」のホームページから。
11日の記者説明会で、三井不動産日本橋街づくり推進部グループ長の菊永義人氏は「今回の取り組みによりインクルーシブなまちづくりを実現し、われわれが目指す日本橋の魅力向上につなげたい」とした上で、「特にインバウンドの人たちに日本橋というまちの良さを伝えるものとしたい。また、オリィ研究所とも相談しながら将来的には、活動エリアの拡大や多言語対応なども検討していければ」と話した。オリィ研究所の吉藤氏は「体を動かすことができなくても、こうした形で社会に参加することができるという生き方を想像してもらえるようなサービスになれば」と期待を込めた。