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西武HD、米国のホテル運営会社を買収

「AGIと西武グループ双方の理念が合致したことが最大のポイント」などとAGI買収の理由を語った(株)西武ホールディングス代表取締役会長兼CEO・後藤高志氏
「西武グループの一員として、世界で250ホテル展開という目標達成の一助となりたい」などと抱負を語ったAce Group International LLCのCEO・Chris Penn氏

 (株)西武ホールディングスの連結子会社である(株)西武・プリンスホテルズワールドワイド(以下「SPW」)は16日、米国を中心に5ヵ国8拠点でライフスタイルホテルブランド「エースホテル」を運営するAce Group International LLC(以下「AGI」)とその子会社の全株式を取得すると発表した。SPWが100%出資して米国に設立した新会社「Ace Hotels Worldwide Inc.」を通じて実施するもので、9月中に手続きを完了する予定。取得価格は最大9,000万ドル(約130億円)程度。

 西武ホールディングスは24年5月に策定したグループ長期戦略の中で、2035年までに250ホテル(国内100ホテル・海外150ホテル)を展開する目標を掲げている。今回のAGI買収もその一環。
 AGIが運営する「エースホテル」は、各都市の個性を生かしたアートなどを取り入れたインテリアデザイン、地元のアーティストによるイベントの実施などにより、クリエイティブ層の支持を集めているライフスタイルホテル。日本では京都に、海外ではアメリカ、カナダ、オーストラリア、ギリシャに計8ホテル出店している。
 SPWはこれまで国内外合わせて86ホテル2万4,153室(国内60ホテル2万258室・海外26ホテル3,895室)を運営してきたが、今回の買収により、94ホテル2万5,634室(国内61ホテル2万471室・海外33ホテル5,163室)に増加。SPWは25年10月にベトナムで「プリンスホテル ダナン」(総客室数164室)、26年3月に福岡で「福岡プリンスホテル ももち浜」(総客室数229室)などを含む6ホテルを開業予定。エースホテルは27年に福岡で「エースホテル福岡」(総客室数192室)の開業を控えている。
 今後も日本を含むアジア、オセアニア、中東での出店を強みとするSPWと、アメリカ、ヨーロッパでの出店を強みとするAGIが相互にノウハウを補完するほか、SPWの既存のホテルブランドに「エースホテル」を加え、ホテルオーナーへの提案の幅を広げ、海外でも拠点を拡大していく。また、国内外で約252万人(25年8月時点)を有する西武グループの会員組織「SEIBU PRINCE CLUB」の顧客にエースホテルの利用者を加え、顧客基盤を拡大する。

 同日記者会見した西武ホールディングス代表取締役会長兼CEOの後藤高志氏は、「AGIは、西武グループがグループビジョンや重要テーマとして掲げる『地域との共生』『感動の提供』『訪れたくなるまちづくり』をまさに体現している。今回の提携により、日本をオリジンとしたグローバルホテルチェーン実現の道が確実になるものと確信している」などと語った。

 また、AGIのCEO・Chiris Penn氏は「今回のパートナーシップにより、私たちは自社の独自性を維持しながら、グローバルに展開していく力を得る」などとコメントした。


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