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住生活基本計画改定、11月上旬に中間とりまとめ

 国土交通省は19日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:大月敏雄東京大学大学院工学系研究科教授)の66回目の会合をウェブ併用形式で開催。住生活基本計画(全国計画)の改定に向けた中間とりまとめ案について議論を行なった。

 前回会合(7月30日付のニュース参照)で中間とりまとめ素案が提示された際に挙がった意見を基に、住生活基本計画の改定に向け国交省が素案で示した11項目の政策課題やその関係性について整理。中間とりまとめの策定やその先の住生活基本計画改定の方向性を確認する意味で「2050年に目指す住生活の姿」としてまとめ、その内容を事務局が説明した。高齢者や若年層、住宅確保要配慮者が充実した住生活を実現するために、住宅アフォーダビリティの確保や持続可能な住宅地の形成が必要とされ、それを支える住宅ストックの性能や利用価値が適正に評価される循環システムの構築がポイントになることなどを説明した。

 これに対して委員からは、「素案に記載された11項目は普遍的なものであり、既存政策のバージョンアップと考えられる。さまざま課題がある中で、突飛な政策で場当たり的に対処するのではなく、政策のバージョンアップによって課題を乗り越えていくことを示すべき」「持ち家に注目が集まりすぎているきらいがあるので、賃貸住宅にも言及した方がいいのではないか」「国レベルの課題に対しては他省庁との連携を考えていくべきだ」などといった意見が挙がった。

 その後、中間とりまとめ案について議論。素案で示していた通り、(1)住まうヒト、(2)住まうモノ、(3)住まいを支えるプレイヤー、の3つの視点でそれぞれの現状や検討の方向性についてまとめ、(1)~(3)のそれぞれに計11項目の課題を設定し、50年の住生活像や当面の施策を提案。前回の会合での委員の意見・指摘を反映して表現を補完したのに加え、「既存住宅市場の整備・活性化懇談会」等での議論の内容も反映させた。「早めに高齢期の住まい探しをしてもらうためには、相談機能を充実させることが重要になるので、文言を追加すべきでは」「過度な都市部一極集中がアフォーダビリティを毀損していることへの言及も必要では」「都心部に目が行きがちな消費者に郊外住まいへの気付きを与える情報提供方法も必要では」などといった意見があった。

 今回の議論を受け、分科会では中間とりまとめの作成を大月氏に一任。同省は11月上旬に中間とりまとめを公表する予定。その後は中間とりまとめを受けた新たな住生活基本計画(全国計画)を検討し、26年3月の閣議決定を目指す。


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