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分譲マンションの短期転売「何らか対策必要」/不動協

 (一社)不動産協会は19日、霞が関コモンゲート西館(東京都千代田区)で記者懇談会を開催。同協会理事長の吉田淳一氏が分譲マンションの「投機的短期転売問題」について言及し、同協会としての見解と取り組み方針について説明した。

 同問題をめぐっては、千代田区が7月18日、同協会に対して(1)総合設計などの都市開発諸制度を活用する事業および市街地再開発事業において販売するマンションについては、購入者が引き渡しを受けてから原則5年間は物件を転売できないように特約を付すこと、(2)再開発等事業において販売するマンションについては、同一建物において同一名義の物による複数物件の購入を禁止すること─の2点を要請。背景に「投機目的のマンション取引が増えることにより、過度な住宅価格の上昇、ひいては賃貸住宅の賃料の高騰などにも影響を及ぼし、区内に居住したい方々が住めないことが想定される」などといった認識があるとした。

 同協会副理事長の野村正史氏によると、これを受け同月24日、同区と意見交換の場を設け、要請の根拠とした資料やデータについて確認。このほか、要請内容の実現により同区が達成できると考えていることなどを整理したという。

 それを受け、同協会はこのほど、同問題に対する見解をまとめた。内容の説明に当たった吉田氏は「マンション価格上昇の要因として、投機的な取引はごく限定的なものと捉えている」とした上で、投機目的の短期転売は「物件によっては一定数の事例があり、決して好ましいことではない。抑制のために何らかの対策が必要と認識している」と明らかにした。

 その上で、引き渡しを行ない顧客に所有権が移ると事業者側にできることは限られてしまうことに加え、憲法で保障されている「財産権の保障」から、転売禁止の特約については「慎重に考えなくてはいけない」(吉田氏)とした。同協会としては、国土交通省が現在進めている外国人による不動産取引の実態調査の結果を踏まえ、同問題に対する取り組みをまとめる予定という。


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