(公社)日本不動産学会は16日、(独)住宅金融支援機構すまい・るホール(東京都文京区)で「既存住宅の性能向上と流通市場の活性化」をテーマとしたシンポジウムを開催した。
明海大学不動産学部長の中城康彦氏をコーディネーターとしてパネルディスカッションを実施。パネリストとして国土交通省住宅局住宅戦略官の家田 健一郎氏、住友不動産ハウジング(株)常務執行役員の徳田 修氏、日本大学経済学部教授の中川雅之氏、住宅金融支援機構住宅融資保険部融資保険企画担当部長の牟田寿穂氏が登壇した。
第1部として、各登壇者が現状の課題認識について発表。中川氏は経済学の研究者、家田氏は行政、徳田氏が事業者、牟田氏が金融の立場からそれぞれ課題を指摘。中川氏は情報の非対称性の問題を取り上げ、「丁寧にメンテナンスしながら質を維持しても、それが買い手に伝わらないためインセンティブが働かない。そのため居住者が住宅の質を高めるという動きにつながらない。リフォーム等の維持管理の価値をしっかり評価することで、ストックの性能向上につなげるべきではないか」などと語った。徳田氏はストックの性能の更新の鍵はリフォームにあるとする一方で、大工職人の減少や検査済証のない築古ストックの扱いなどが性能向上の足かせになっていることなどについて話した。
その発表を受けて意見交換を行なった後、第2部として課題を解決し、既存ストックの性能向上・流通市場活性化を実現するために必要な取り組みについて、再び各登壇者が発表。牟田氏は同機構で取り扱っている多様な住宅ローン商品や優遇策などを紹介したほか、家田氏は「住生活基本計画」の見直しに向けて議論された今後の具体的な施策等について説明した。