(株)矢野経済研究所は27日、「マンション管理市場に関する調査」結果を発表した。
7~9月の期間、マンション管理会社等を対象に調査を実施。同調査におけるマンション管理市場とは、分譲マンションを対象とし、マンション管理費市場および共用部修繕工事市場により構成される。マンション管理市場は管理費ベース、共用部修繕工事市場は分譲マンションの共用部計画修繕工事金額ベースで算出した。
2024年のマンション管理費市場規模は、前年比2.3%増の8,605億円と推計。新築分譲マンション竣工戸数は微減傾向で推移しているが、新築分譲マンション価格や人件費等の上昇に連動する形で管理費は上昇しており、同市場は引き続き堅調な伸びが続いている。
共用部修繕工事市場規模は、前年比28.8%増の9,355億円と推計。24年は00年頃に大量供給されたマンションの2回目の大規模修繕工事が多数実施されていることや、建設資材価格、人件費の高騰などを理由に工事単価が上昇していることから、同市場規模は大きく拡大した。
近年、水回り・室内トラブルに対する駆け付けサービスをパッケージ化した専有部サービスに加え、駐車場・駐輪場のサブリースや物件の買い取り・再販サービス、自動車や自転車などのシェアリングビジネスなど、管理サービスのメニューを増やし事業拡大に取り組むマンション管理会社が見られる。また、ICTを活用した管理サービスを開発・提供する管理会社も。従来の「管理」だけでなく、管理に付随する幅広いサービスを提供する生活の「総合ソリューション」事業への進化が加速している。
25年のマンション管理費市場は、前年比2.2%増の8,796億円、30年には24年比13.7%増の9,787億円に成長すると予測。管理費は、新築分譲価格の高止まりや人件費等の原価上昇を背景に、上昇傾向が続く見通しとしている。
共用部修繕工事市場については、25年は前年比7.3%増の1兆38億円、30年には24年比12.7%増の1兆539億円になると予測。経年劣化に伴う小規模な修繕工事の増加や、築年数が経過したマンションストック数の増加、長寿命化に対応した修繕工事ニーズの増加により、同市場も堅調な拡大を見込む。