(一社)不動産流通経営協会は30日、2025年度の「不動産流通業に関する消費者動向調査」結果を発表した。ファミリー層の住宅取得行動等を把握する目的で1991年から実施しており、今回で30回目。調査対象は、首都圏1都3県において2024年4月1日~25年3月31日に購入した住宅の引き渡しを受けた世帯。有効回答数は1,169件。
購入金額の平均は全体で5,500万2,000円。物件種別では新築戸建て5,707万円、新築マンションが6,877万円、既存戸建てが4,873万1,000円、既存マンションが5,462万4,000円。
購入資金の状況は、新築住宅購入者の「前住居の売却金」が5,308万4,000円と、前年を1,624万4,000円上回った。親から贈与を受けた人の平均額も1,205万6,000円と、前年度400万円以上アップしている。「物件価格の高騰の影響により、資金調達の面でも金額の増加傾向がみられる」(同協会)。また、既存住宅の購入者は「全住居の売却金」が3,375万8,000円と、前年よりも約150万円増額している。
自己所有していた住宅から現在の住宅に住み替えた410世帯のうち、約70%にあたる287世帯が前住居を売却。このうち購入・売却価格の回答があった246世帯の売却差額を分析したところ、買い換えた際に売却価格が購入価格を上回り、売却差額がプラスになった世帯は61.0%(前年度比1.3ポイント増)と、初めて6割を超えた。売却差額がマイナスとなった世帯は34.1%(同1.3ポイント増)。
売却差額の平均はプラス627万2,000円(前年:426万3,000円)と、売却益がさらに拡大した。売却差額を金額帯別に集計すると、「1,000万円超~2,000万円未満」が20.3%(同:14.1%)となり最多。続いて「0円超~500万円未満」「2,000万円超~3,000万円未満」「3,000万円超」がそれぞれ10.2%で並び、1,000万円超の売却益が出た世帯が全体の4割に上った。
売却した住宅の築年別にみると、築25年以内の各築年帯で売却益が出ており、特に「築5年超~10年以内」の売却益は2,098万7,000円(前年:売却益1,431万9,000円)、「築10年超~15年以内」は2,187万8,000円(同:売却益706万1,000円)と、平均で2,000万円超の売却益となっている。一方で、築25年超になると474万1,000円(同:売却損271万1,000円)の売却損が発生した。
住宅ローン減税の利用については、「利用した・利用する予定」と回答した割合は全体の77.0%。新築住宅購入者の75.6%、既存住宅購入者の77.0%となった。新築住宅は前年調査では利用率が9割を超えていたが、今回の調査では新築住宅購入者のうち一定割合で住宅ローン減税の適用範囲外である40平方メートル未満の住宅を購入しているケースが見られたことから、回答割合が減少したとみられる。