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Aクラスオフィスビル、期待利回りおおむね横ばい

 (一財)日本不動産研究所は27日、第53回「不動産投資調査」(2025年10月現在)の結果を発表した。アセット・マネージャーやアレンジャー、ディベロッパー、保険会社など173社を対象に調査を実施。151社より回答を得た。

 オフィスビル(Aクラスビル)の期待利回りは、東京都が「丸の内、大手町」3.2%(前回調査(25年4月)比変動なし)と、6期連続の横ばい。「日本橋」3.4%、「虎ノ門」3.5%、「赤坂」3.6%、「港南」3.7%、「西新宿」3.7%、「渋谷」3.5%と、多くの地域が横ばいで推移した。「六本木」は3.5%(同0.1ポイント低下)、「池袋」は3.8%(同0.1ポイント低下)。主な政令指定都市は、「札幌」が4.8%(同0.1ポイント低下)、「横浜」が4.3%(同0.1ポイント低下)だったが、その他は横ばいだった。

 住宅(賃貸住宅1棟)の期待利回りは、「東京・城南」のワンルームタイプは前期に引き続き3.7%で横ばい。ファミリータイプは3.8%で4期連続の横ばいとなった。地方都市では、ワンルーム・ファミリータイプともにほとんどの調査地区で横ばいの結果に。

 商業店舗は、都心型高級専門店の期待利回りが「名古屋」のみ低下したが、「銀座」は3.3%で2期連続の横ばい。その他の調査地区も横ばいとなった。郊外型ショッピングセンターは、「東京」のみ低下したが、その他の調査地区は横ばい。
 物流施設・倉庫(マルチテナント型)の期待利回りは、湾岸部の「東京(江東区)」は3.8%で4期連続の横ばい。内陸部の「東京(多摩地区)」は4.0%で2期連続の横ばいとなり、すべての調査地区で横ばいとなった。
 ホテル(宿泊特化型)の期待利回りは、「東京」が4.2%で2期連続の横ばい。「大阪」のみ4.5%(同0.1ポイント低下)と低下したが、その他の調査地区は横ばいだった。

 今後1年間の不動産投資スタンスについては、「新規投資を積極的に行なう」が94%で横ばい。「当面、新規投資を控える」は2%(同3ポイント低下)と下落した。

 併せて、特別アンケート「不動産投資市場へのインフレの影響」も公表した。回答者数は143社。

 投資不動産の賃料に対する回答時点の影響は「ややあり」が66.2%。「あり」21.8%と合わせおおむね9割を占めた。物件管理費等のランニングコスト上昇による純収益(NOI)への影響は「ややあり」が54.2%で、「あり」32.4%と合わせて86.6%となった。
 借入金利や予想インフレ率の上昇が不動産投資利回り(Cap Rate)に与える影響は、「なし」が54.6%。インフレによる建築着工や新規開発プロジェクトへの影響は「あり」が77.5%、「ややあり」17.6%と合わせ95.1%と高い割合となった。これらの影響を踏まえた総合的な不動産投資市場に与える影響は、「ニュートラル」が45.7%と約半数を占め、次いで「ポジティブ」が28.3%。「ネガティブ」は18.1%で、「ポジティブ」とする見方が「ネガティブ」より多い結果に。
 今後2~3年の見通しについてもおおむね同じ傾向の回答割合だが、賃料に対する影響は「あり」が回答時点の21.8%から50.4%に増加。Cap Rateへの影響も「ややあり」が37.6%から52.1%と増加しており、将来的には賃料とCap Rateの上昇圧力が強まるとの見方が多い結果となった。


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