(一社)リノベーション協議会は28日、「中古・リノベーションマンション市場の動向・展望 -新築供給の構造的減少により中古・リノベが主戦場に-」をテーマに、「新田町ビル」(東京都港区)にてプレス向けセミナーを開催した。
(株)リクルート SUUMO編集長兼SUUMOリサーチセンター長の池本洋一氏が登壇。現在議論されている、新たな「住生活基本計画」の概要を説明した。「市場機能の進化によるストック価値の最大化、人生100年時代の住生活基盤の構築が大きな流れ。その実現に向け、既成住宅地の相続住宅の市場を通じた流通、性能・利用価値の査定評価法の普及などの取り組みを推進していく方針」と話した。
また、性能向上リノベーションの課題と解決策について、「“性能向上”は目に見えにくく、伝わりにくい。ZEHの魅力が一目で分かる画像を用いるなど、広告時の伝達法に工夫が必要。室内外の温度変化を“見える化”した資料を用いて、物件内覧や接客時に工夫することも有効」とアドバイスした。
引き続き、同協議会会長の内山博文氏をモデレーターに、池本氏、(株)エフステージマーケティング企画室/ブランド事業部課長の伊藤 洸氏、(株)コスモスイニシア商品企画部部長の辻井正人氏、(株)エヌ・シー・エヌ環境設計部次長の東 憲一氏をパネリストにパネルディスカッションを実施。「省エネの価値を顧客にどう伝えるか」といった観点から、各社が省エネの取り組みを披露した。
首都圏でリノベーションブランド“ARISE”を展開するエフステージは、物件引き渡し時に行なったアンケート結果から、「ユーザーは住み始めてから省エネの効果を大いに体感する。住宅選択時と居住後とで省エネの評価に乖離があることが明らかとなった」(伊藤氏)と話し、「この乖離をできる限り小さくすることが課題」と話した。
コスモスイニシアは、リノベーションマンション「INITIA&Renovation」を展開。今年度の「住宅省エネルギー性能証明書(ZEH水準・省エネ基準)」取得率30%を目標に掲げている。「ユーザーにお渡しする省エネの説明パンフレットについては、具体的にどのようなメリットがあるのかを図解し、感覚的に理解できるよう工夫している」(辻井氏)。
エヌ・シー・エヌは、三菱地所レジデンス(株)との取り組みを紹介。新築市場では一般的となった省エネ性能の見える化を中古市場でも当たり前にすることを目指し、「ZEH水準・省エネ基準であること、住宅ローン減税の優遇、エネルギー性能を表示した『省エネルギー性能報告書』により、購入者の物件選びをサポートしている」(東氏)と述べた。