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分譲マンション、「情緒的な価値」で差別化/地所レジ

「パワーカップルなど高所得世帯が、今の市場を下支えしている」などと話す、三菱地所レジデンスの宮島正治社長

 三菱地所レジデンス(株)代表取締役社長の宮島正治氏は3日報道陣と会見し、現在のマンション市況や同社の事業戦略について説明した。

 同氏は、首都圏の新築分譲マンション価格の急騰について、「建設業界の人手不足による建築コストの上昇や、住み心地の良さを求めるユーザーによる利便性の高い都心部のマンションへの需要集中と供給不足、株価上昇に伴うマンションの資産価値の高さを見込んで購入する人の増加、などが背景にある」と分析した。
 その一方で、「夫婦共に年収700万円以上のパワーカップル世帯数は過去10年で倍増、2組に1組の割合でペアローンを利用しているとの調査もある。これら高所得世帯は、1億円のマンションは十分に手が届く」とし今の市場を下支えしているとした。また、購入は実需目的が大半を占めているため、「バブル崩壊やリーマンショック後のような価格の崩れ方はしないだろう」とも述べた。

 11月25日に(一社)不動産協会が発表した、分譲マンションの投機的短期転売問題への対策(詳細は、過去のニュースを参照)については、「(事業者に対する)『襟を正せ』というメッセージだと認識している」とした上で、1物件当たり2戸までの購入制限など、同協会の要請に沿った形での取り組みを進めていくとした。

 今後は、ユーザーから選ばれ続けるために、住宅の性能・機能的な価値(利用価値)だけでなく、暮らしの質・住み心地(使用価値)といった「情緒的な価値」を高めることで差別化を図る。「『値上がりする』『見栄えが良い』といったことも大切だが、“そこに住むこと”でユーザーが得られるベネフィットこそ不動産価値を上げるものと考え、マンションづくりをしていく」(宮島氏)。


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