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日鉄興和不、農業に参入。北海道室蘭市にりんご園

「弊社の成長を進めるために、新規事業として農業に参入する」と語る、日鉄興和不動産代表取締役社長の三輪正浩氏

 日鉄興和不動産(株)は12日、記者発表会を行ない、農業事業への新規参入と新会社の設立を発表。北海道室蘭市でりんごの生産に着手する。

 同社は2024年にスマート農業のスタートアップ企業に出資し、農業分野の知見を得ながらネットワークを広げるとともに、農林水産業界関係者や政策担当者、自治体関係者等と意見交換を重ねてきた。その中で、農業は不動産事業と同じく土地に根差した事業であること、ライフスタイルに密着した事業であると考えたときに、不動産業との親和性を感じたことなどから、新規事業として農業に取り組むことを決定した。

 農産物の生産・加工、輸出・販売などを手掛ける(株)日本農業(東京都品川区、代表取締役CEO:内藤祥平氏)と、12日付で「日鉄興和不動産農業(株)」(北海道室蘭市、代表取締役:鈴木誠治氏、資本金1億円)を設立。日鉄興和不動産が所有する北海道室蘭市の遊休地で、26年4月よりりんごの栽培を開始する。室蘭市は冷涼な地域で工業地のイメージが強いが、最近の気温上昇により、リンゴの栽培は可能だという。

 まずは0.7haほどの規模で開園。27年4月にさらに約3.9haを追加開園し、生産基盤を確立させる。栽培に当たっては、樹間の距離を短くし、さらに樹を円筒形に近付けて樹を一列に植えることで農地を有効利用する「高密植栽培」を採用し、生産性向上を図る。2年目から収穫を開始、6年目にはフル生産とする計画。
 第二フェーズでは、登別などの近隣自治体へも農地を拡大させるとともに、さつまいも、ぶどうなど多品目の栽培も手掛け、第三フェーズでは、観光農園化や加工品開発、スマート農業技術の外販やコンサルティングなどといった六次産業にも拡大させる。今後10年間で100ha規模の生産体制を整備するとともにビジネスモデルを確立し、その土地に適した農産物を生産する「アグリディベロッパー」としての地位を確立する考え。

 日鉄興和不動産(株)代表取締役社長の三輪正浩氏は、「この取り組みはCSRではなく、弊社が成長を進めるための新規事業の一環である。利益・雇用を生み、継続的に運営していくことで、地域経済を微力ながら支えていきたい」と語った。

開園予定の農地(写真提供:提供:日鉄興和不動産農業(株))
高密植栽培の様子(写真提供:(株)日本農業)


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