(一財)森記念財団 都市戦略研究所は17日、「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index) 2025」を発表。9年ぶりにトップ5都市の順位が変動し、東京がニューヨークを抜き初の2位となった。
同ランキングは、2008年より調査・発表を行なっているもの。世界の主要48都市を対象に、「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野72指標で評価している。
1位はロンドン(スコア:1642.2)。以下、2位東京(同:1535.1)、3位ニューヨーク(同:1476.6)、4位パリ(同:1444.6)、5位シンガポール(同:1293.1)と続いた。
東京は、「経済」が12位(昨年10位)と順位を落としたものの、「文化・交流」が2位(同3位)、「居住」が1位(同3位)と上昇し、今回の躍進を支えた。一方で、ニューヨークは「居住」44位(同39位)、「環境」39位(同30位)と、これらでスコアを大幅に落とし、東京と総合順位が入れ替わることとなった。
東京を分野別に見ると、「文化・交流」については、特に「観光地の充実度」2位(同11位)、「ナイトライフ充実度」1位(同8位)、「外国人訪問者数」3位(同3位)が順位上昇に貢献。「ナイトライフ充実度」は、満足度を評価する指標が加わったことで大幅に上昇した。
「居住」は、有給休暇の消化のしやすさが評価され「働き方の柔軟性」が31位(同39位)と大きくスコアを伸ばし、「飲食店の多さ」も1位(同4位)となるなど高評価。加えて、円安下から「住宅賃料水準の低さ」19位(同18位)、「物価水準の低さ」13位(同18位)と、これらも評価が高かった。
「環境」でも、7位(同18位)と大きく順位を伸ばした。新規指標の「企業のサステナビリティ評価」が2位とスコアが高く、さらに、緑地の面積に加えその使われ方(自由にアクセスできるかなど)も評価指標に組み込まれた「緑地の充実度」も28位(同35位)となり、これらが順位上昇の要因となった。
「経済」では「GDP成長率」が22位(同46位)となり、コロナ禍前の水準にまで回復したことが見て取れるが、「賃金水準の高さ」29位(同27位)、「優秀な人材確保の容易性」40位(同39位)の2分野の順位が上がらないことが、低迷の原因に。「研究・開発」では「スタートアップ数」が4位(同7位)となったが、増加したスタートアップが成長し、台頭できるかどうかが今後の課題となっている。
また、大阪が18位(同35位)と、大幅に順位を上げた。特に「文化・交流」が13位(同23位)とスコアを上げている。データ自体は大阪・関西万博開催前のものとしつつ、国際的なイベントが行なわれる場合は開催前から各指標が上昇する傾向が強いといい、万博が大きく影響していると分析。さらに、近隣の京都からインバウンドが流れてきているとも指摘した。同財団では、万博開催の効果が結果に反映される来年も、大阪の順位は高くなると見ている。