国土交通省は19日、31回目の社会資本整備審議会都市計画基本問題小委員会を開催。「令和の都市(まち)リノベーション」の推進に向けた中間とりまとめ案について意見交換を行なった。
同案では、全国において今の時代に合った安全・快適なまちづくりのために取り組むべき施策の背景・現状と今後の対応の方向性について、2025年2月以降の検討内容を反映した。「地域に民間投資を呼び込み、個性ある都市空間をつくる『令和の都市(まち)リノベーション』の推進」をテーマとする。
社会情勢の変化を背景に、特に地方部を中心に人口減少が進んだことで、地方都市の生活サービス機能が危機的な状況に置かれていることを課題として指摘。その上で、地域の魅力を高める個性ある都市空間をつくり、民間投資を促す「令和の都市(まち)リノベーション」を推進する必要があるとした。
推進する上で「5つの視点」で取り組む必要があるとして、(1)働く場所をはじめとした都市機能のさらなる集積による地域活力の向上、(2)地域の歴史・文化や景観・環境等の地域固有の魅力に根差すまちづくりの推進、(3)地域の付加価値を高めるマネジメントの強化、(4)激甚化・頻発化する災害からの安全性・防災力の強化、(5)これらを推進するための政策間・地域間での連携、を設定。それぞれを進めるに当たって必要な政策等についてまとめている。
(1)では、地域の「稼ぐ力」の創出や職住近接での生活利便性向上を図るため、立地適正化計画に業務施設や業務支援施設、集客施設を新たに位置付け、まちなかへの誘導を促進するほか、都市開発事業をより推進するために必要な支援措置の実施を盛り込んだ。所有者不明土地対策についても言及した。
(2)については、地域資源の活用によるエリアの価値・魅力向上を推進する区域を都市再生整備計画に位置付け、既存建築物の改修等を官民連携で進める。また、エリア一体のリノベーションによる景観再生を推進するための新制度創設などを図る。このほか、(3)では民間事業者による質の高い公共貢献や、エリアマネジメント活動の推進など。(4)は立地適正化計画と災害対策の連携、民間投資の巻き込みを促進する。(5)では、省庁・部局間や地域同士の横断的な連携を強化していく。
同案について委員からは、「さまざまな制度を自治体の担当者が理解し、実行に移すことができる仕掛けが必要」「行政が主導して短期的な資金流入を招き入れても、長期的な視野に立つと地域の価値を毀損するケースがあることも留意しなければならない」「エリアマネジメントなど民間の活動に公的な位置付けを与えることも重要になる」などといった声が挙がった。
今回挙がったこれらの意見を踏まえ、近日中に中間とりまとめを公表する予定。その後、制度改正等の検討を進めるに当たって、再度同小委を招集して議論を詰めていく見込み。