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「一人ひとりの生活を豊かにする」創造的復興を

シンポジウムの様子。建築・不動産・まちづくり関係者ら約70名が参加した

 (一社)リノベーション協議会は15日、しいのき迎賓館ガーデンルーム(石川県金沢市)にて、「能登の創造的復興を考える」シンポジウムを開催。約70名が参加した。

 「地域資源を生かした持続可能な復興のあり方」と「災害に強いまちづくり」を考えることが目的。行政・民間・地域の実践者が一堂に会することで、文化や景観を守りつつ、災害に強いまちをどう再構築できるか、創造的復興の可能性を議論した。

 基調講演として、金沢市で建築・設計事務所、金沢R不動産を展開する(株)ENN代表取締役の小津誠一氏が登壇。同氏は、復興の課題として、公費解体による地域資源の喪失・更地化された地域、能登の風土景観の棄損・観光資源の喪失をもたらす新建材住宅などを提示。それらに対し、「残すべき建物の改修」「売却ではなく賃貸・シェアという不動産の有効活用へ」といった取り組みを提案。最後に「創造的復興とは? 『前より、良くなったね』と皆が言えるために何ができるか?」との課題を投げかけ、講演を締め括った。

 引き続き、合同会社RRP代表社員の矢部智仁氏をモデレーターに、石川県副知事の浅野大介氏、(株)ブルースタジオ(東京都中央区)専務取締役の大島芳彦氏、(株)巻組(宮城県石巻市)代表取締役の渡邊享子氏がパネルディスカッションを実施。「能登における創造的復興を考える」をテーマに、それぞれ意見を述べた。

 浅野氏は、金沢市が実践している、多様な分野の参加者が集まり、能登の創造的復興に向けた意見交換やアクションを生み出すための「のとマルチセクターダイアログ」の活動に言及。「奥能登国際芸術祭」の広域開催化、企業研修・子どもの自然学習の拠点とする取り組みを披露した。「多くの人が復興に参画し、困難を乗り越えていくこと、それに尽きる。『地元×関係人口=楽しい能登』を目指す」(同氏)。

 渡邊氏は、東日本大震災での経験を振り返りながら、「震災当時の石巻市の人口は約16万人、そこから約3万人が減ってしまい、“家がない”と言われていたにもかかわらず空き家が増えている」と言及。「その地でライフスタイルを確立できなければ人口は流出し続ける。創造的復興とは“関わる人”を増やすこと。ハードの整備はもちろん必要だが、一人ひとりの生活を豊かにすることが一層重要となるのでは」と話した。
 持続可能なまちづくりに取り組んでいる大島氏は、「まちや地域づくりには、共感を礎とする仲間の環が必要で、“私”ではなく“私たち”という視点が必要。復興も1人で成し遂げるのは無理。“私なんて何もできない”という圧倒的多数をいかにその気にさせられるかがカギとなる」と述べた。


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