国土交通省および業界6団体が2025年9月に設立した宅地建物取引業リスキリング協議会(事務局:(公財)不動産流通推進センター)は25日、「不動産事業者のリスキリングに関するアンケート」調査の結果を発表した。6団体は、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会、(公社)全日本不動産協会、(一社)不動産協会、(一社)不動産流通経営協会、(一社)全国住宅産業協会、不動産流通推進センター。
不動産事業者のリスキリングへの取り組みの実態を把握し、今後の不動産業界におけるリスキリングのあり方を検討するために実施したもの。同年10月中旬~12月上旬に、Web調査フォームを活用しアンケートを行なった。対象は、不動産流通推進センターを除く5団体の会員。回答者数は2,164事業者。
リスキリングの実施有無を聞いたところ、宅建士の法定講習(資格更新講習)を除いた「自発的なリスキリング」を実施している事業者は55.0%。半数以上の事業者がリスキリングに取り組んでいる一方、45.0%は法定講習以外の教育機会を持てていない現状があり、同協議会は「業界内での人材育成格差が懸念される」としている。
事業者の規模別に見ると、1~5人は52.7%、6~10人は56.5%、11~99人は67.1%、100人以上は77.9%。規模が大きくなるに従ってリスキリングの実施率は上昇したが、100人以上の大規模事業者でも2割以上は実施されていないことが明らかになった。
リスキリングの実施形態は、「団体実施の研修・講座」が71.0%で最多。次いで「eラーニング」44.1%、「社外実施の研修・講座」37.8%だった。事業者の規模別に見たところ、小規模事業者は「団体実施の研修・講座」への利用率が突出して高く、業界団体が提供する研修プログラムが中小事業者のリスキリングを支える基盤として機能していることが分かった。また、事業規模が拡大するにつれて、社内研修の確立や社外プログラム、自己啓発、OJTなどの導入が進み、形態は多様化していた。
実施している研修の内容については、「不動産取引の実務」が71.6%で1位に。「法令・税制の基礎知識」67.0%、「不動産取引の基礎」66.3%と続き、実務特化型の研修が中心となっていることが明らかに。一方、「コンプライアンス」27.4%、「ITツール・生成AI・DXに関する知識」18.3%、「リーダーシップ・マネジメント関連」10.5%と、組織運営や生産性向上に寄与する汎用的なビジネススキルの研修の実施率は総じて低かった。
リスキリングを実施する目的を聞くと、最も多かったのは「知識・スキルの習得」で92.0%。次いで「トラブルの防止」60.4%と、トラブルなく業務を遂行したいという事業者の意向がうかがえる結果だった。「資格取得」「従業員のキャリア形成」「ITの活用・DXの推進」など組織成長・人材定着が目的の研修は30%未満にとどまった。
リスキリングを実施しない理由について尋ねたところ、「人材がいない」が36.7%で最多で、事業者規模による差は小さかったことから共通の悩みであることが判明。6~10人および11~99人の中規模事業者では「何に取り組めばいいのかわからない」の回答が4割以上と突出。6~10人の事業者では「時間が確保できない」も5割以上だった。小規模事業者ではリソース不足、中規模事業者では自社に適した研修プログラムの選定やカリキュラム策定におけるノウハウ不足がボトルネックとなっている実態が浮かび上がってきた。
また、「予算が確保できない」という回答は全体的に低かったことから、同協議会では「リスキリング推進の鍵は『時間の捻出』『具体的な学習メニューの提示』にある」とした。