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郊外戸建の魅力を探る(2)

プレ協、人気の郊外型開発を紹介

 前回に引き続き、今回は(社)プレハブ建築協会が報道機関向けに実施した視察会で紹介された団地の2物件目を紹介する。

ハウスメーカー3社が提案する高級邸宅街「横浜都筑の杜」。外構は、共通仕様で統一されるが、建物は各社独自の提案。シャッター付き駐車場は、大形車が優々2台収まる広さ
全戸ともアルコーブが設けられる。天然石がふんだんに使われた仕様はなかなかのもの
2ヵ所あるエリアへの出入口には防犯カメラを設置。ゾーンセキュリティを確保している
建物内部。無垢のフローリングや天然石敷きのリビングなど、高級仕様
キッチンもタイル貼りやステンレス貼り、ドイツ製コンロなどかなりの高級仕様。そして、十分な広さと収納を設けている



全戸1億円超、港北NT随一の高級邸宅街


積水・大和・パナ「横浜都筑の杜」

 「横浜都筑の杜」(横浜市都筑区)は、横浜市営地下鉄「センター北」駅徒歩12分に立地する、総開発面積1.2ha、総戸数48戸の戸建団地。開発地は、UR都市機構が基盤整備を行なったものを、積水ハウス(株)、大和ハウス工業(株)、パナホーム(株)の3社で取得。積水ハウスが20戸、大和ハウスが20戸、パナホームが18戸の住宅を建設した。建売住宅として販売されるのは17戸、残りは建築条件付き宅地として販売される。

 現地は、港北ニュータウンの中でもとりわけ人気の高い「センター」エリア(センター南・北駅)から徒歩圏に位置。とくに、今年6月には東急東横線に接する市営地下鉄「グリーンライン」が開業したことから、さらに人気に拍車がかかっている。
 四方が道路に面した独立街区であり、東と南が公園、西が武蔵工業大学、北が戸建住宅街に面しており、環境面でも申し分ない。そこで3社は、この立地特性をいかすため、港北NTのなかでもさらに希少性の高い「邸宅街」として企画・開発を行なった。

 周辺住宅地は平均50坪(165平方メートル)程度のものが多いなかで、同団地は最低でも184平方メートルを確保。200平方メートル以上の区画を 27区画とするなど、敷地にゆとりを持たせた。自動車の出入口を敷地内2ヵ所に限定したゾーニングとして、歩行者専用通路と合わせた3ヵ所に防犯カメラを設置。さらに警備会社の防犯システムを各戸導入することで、団地内全体でのゾーンセキュリティを確保した。
 また、各住戸にシンボルツリーを設けるほか、植栽を充実。外部の公園と接した公園とフットパスにより、周囲の緑との連続性を持たせている。この団地も、電線は地下に埋設している。

 建物は、ハウスメーカー各社独自の仕様だが、外構についてはブラウンを基調としたレンガタイルを使ったもので統一している。玄関前へのアルコーブ設置、シャッターゲート付き駐車場の仕様も共通。外構だけで約1,000万円のコストがかかっているという。
 見学した建物住宅の内部は、ハウスメーカー各社の最高級商品群とほぼ同レベルの仕様。突き板仕様の建具、無垢フローリング、ステンレス・天然石をふんだんに使ったキッチン、タイル貼りの浴室…。請負建築すれば4,000万円は優に超える仕様と思えた。

 当然、販売価格も高く、建物面積133~200平方メートルで1億880万円~1億5,950万円と、全戸1億円を突破している。さすがに、これだけの価格になると早期完売は難しく、販売を開始した07年10月から今年3月までは1戸も売れなかったという。それが、横浜市営地下鉄グリーンラインの開業が近付くにつれ反響が良くなり、これまでに17戸中7戸が売れた。

 ここ数年、港北ニュータウンは急激にブランド住宅地となっており、マンションも1億円近い価格のものが登場している。それを考えれば、この団地の売り方も評価できるのではないか。
‐続‐ (J)

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郊外戸建の魅力を探る(1)


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