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最新ハイグレードマンションの魅力

賃貸、分譲それぞれの工夫

 10月の月例経済報告(内閣府発表)で1年8ヵ月ぶりに「下方修正」を示すなど、依然として景気は回復の波には乗れておらず、円高や海外マーケットの失速などが影響し、足踏み状態が続いている。  そのようななかでも、ハイグレードマンションは賃貸、分譲とも入居率、売行きが好調のようだ。ここ最近人気のハイグレードマンションの魅力を紹介する。

「ラ・トゥール代官山」外観
「ラ・トゥール代官山」の中庭。ロの字型であるが、住戸同士の見合いを避けた配棟、植栽の配置に配慮
最高家賃531万円の住戸のフォーマルリビングイメージ(「ラ・トゥール代官山」)
最高家賃531万円の住戸のバスルーム。眼下には周辺の戸建住戸の屋根がところ狭しと並ぶ(「ラ・トゥール代官山」)
最高家賃531万円のエントランス。約40平方メートルのエントランス(「ラ・トゥール代官山」)
ガレージ付き住戸では3台分の車の駐車が可能。なお、普通に駐車場を借りると1台当たり8万円~(「ラ・トゥール代官山」)
「THE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCE」外観イメージ(向かって左側の建物)
最高価格4億8
000万円の住戸のリビング・ダイニング イメージ(「THE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCE」)
最高価格4億8
000万円の住戸のドレッシングルーム イメージ(「THE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCE」)。バスルームの隣に設けられ、エステなどのサービスを受ける

◆配棟、住戸プランで差別化。 最高家賃月額賃料 531万円の賃貸マンション

 

 先日、記者が見学したのは住友不動産(株)が9月に竣工した高級賃貸マンション「ラ・トゥール代官山」(東京都渋谷区、総戸数139戸)。「ラ・トゥール」は同社の高級賃貸マンションブランドで、2000年6月に竣工した「ラ・トゥール芝公園」(東京都港区)に始まり、同マンションで16物件目となる。ちなみに、「ラ・トゥール」はフランス語で、英語の「The Tower」という意味。

 JR・各線「渋谷」駅徒歩8分、東急東横線「代官山」駅徒歩8分に立地。外国人向けの高級賃貸集合住宅「エバーグリーンパークホームズ」があった場所で、もともと外国人富裕層が居住する歴史あるエリア。鉄骨鉄筋コンクリート造地上7階地下1階建て、敷地面積1万5,723.11平方メートル、延床面積4万9,987.99平方メートル。
 同マンションの専有面積は122.26~500.38平方メートル、月額賃料は 82~531万円(共益費等込み)で、平均専有面積約240平方メートル、平均月額賃料181万円。

 建物のスペック、サービスのグレードの高さはもちろん、最高家賃月額賃料 531万円(専有面積500.38平方メートル)という「ペントハウス」に驚いた。同シリーズでも最高峰に位置するという。
 「ペントハウス」の両開きのメインエントランスを入ると、約40平方メートルの広々としたエントランスホールがあり、プライベートエントランス、パブリックエントランス、サブエントランスと動線が分かれる。間取りはプライベートゾーンとパブリックゾーンから成るという一般の住戸とは異なる仕様だ。
 そのほか、戸建て感覚の「専用庭付プラン」、最大2台分の専用ガレージを持つ「屋内専用ガレージ付プラン」、音楽活動に専念できる「防音部屋付きプラン」などの住戸プランも用意する。

 建物の配棟はロの字型で、四季折々の樹木を配した「中庭(インナーガーデン)」を配置。共用施設にはフィットネスジム、キッズルーム、パーティールーム、ラウンジ、屋上テラスを設置している。
 また、24時間対応のバイリンガルコンシェルジュが常駐。セキュリティは敷地内に配置した70ヵ所を超える防犯カメラに加え、24時間門番が正面ゲートで来訪者チェックを行ない、人の目と機械による5重のセキュリティシステムを配置している。

 気になる契約状況については、すでに30戸強に申込みが入っており、最高月額賃料531万円の住戸も入居が決まっているという。顧客の属性としては、企業のオーナーが多く、土地柄もあり当初の想定通り外国人駐在員も多いという。また、同シリーズで2009年までに竣工を迎えた全13棟の平均稼働率は9割強と好調ぶりが伺える。
 同社では今後も、都心部でのハイグレードマンションの需要は高いと見込み、同シリーズの開発を積極的に行なっていくという。


◆サービスで付加価値。
ホテルライクな分譲マンション
 

 三井不動産レジデンシャル(株)、東京建物(株)、住友商事(株)、(株)ケン・コーポレーションが、2011年竣工で開発を進めている超高層マンション「THE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCE」(東京都港区、総戸数611戸)。最高価格は4億8,000万円というハイグレードマンションだ。

 東京メトロ日比谷線・都営地下鉄「六本木」駅徒歩3分に位置し、敷地面積は5,741.22平方メートル、延床面積は6万4,112.14平方メートル。建物は鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地上39階地下1階建て。総戸数611戸のうち、一般分譲住戸345戸、事業協力者用住戸84戸、賃貸用(非分譲)住戸182戸。

 同マンションの魅力の一つが「クラブ・レジデンス」という発想で、居住者をクラブメンバーと考え、ホテルライクなサービスを提供している点だ。こうしたサービスは最近のハイグレードマンションのほとんどで取り入れられているが、同マンションはすべてを網羅し、これ以上にないレベルまで達していると思われる。
 専門スタッフが24時間常駐し、ホテルのコンシェルジュの役割と同様に「クラブマスター」として、居住者のサポートを行なう。ポーターやセキュリティスタッフも24時間常駐する。また、居住者の車の出入庫を行なうバレースタッフが7:00~23:00、ライフスタッフ(管理スタッフ)も9:00~17:30駐在する。
 サービスの種類も多岐に渡り、ハウスキーピング、リネン交換、24時間ルームサービスなどを用意するほか、住まいを離れても受けられる、ペット散歩代行、チケット等の予約も可能。また、各界を代表する専門家によるプロフェッショナルなサービスとして、フラワーアレンジメントや、スパ&ネイルサービス、ヘアメイクなども提供するという充実ぶりだ。

 なお、同マンションは低層階(3~10階)に賃貸住戸も設けるが、エントランスから住戸まですべて別動線になるという。

 同マンションの専有面積は38.71~177.59平方メートル、第1期および第2期販売の分譲価格は、6,120~4億8,000万円(専有面積47.04~177.59平方メートル)。
 
 こちらの販売状況も、すでに最上階の7戸(販売価格:2億6,000万~4億8,000万円)全戸に申込みが入っている。顧客の属性は会社役員、企業経営者、医師が多いという。なお、第1期92戸はほぼ完売、第2期の販売が10月から開始され、進捗は好調のようだ。

◆いかに商品価値を高めるか

 

 紹介したいずれのマンションも一等地かつ建物グレードも高いマンションであるが、周辺相場と比較すると非常に高額であることは確かである。それでも需要があるのはなぜだろうか?

 「ラ・トゥール代官山」は、多彩な住戸プランや各居室の間取り、ロの字型の配棟で中庭を設けることで、囲繞空間が生まれ、居住者に安心感を与えるなど、全体平面計画に工夫を感じた。
 さらに、ライフスタイルの変化にともない、住居も変えたいと考える高額所得者層のニーズをうまく掴んだのではないかと思われる。

 「THE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCE」は、「クラブ・レジデンス」の発想でホテルライクなサービスを追求し、居住者に特別感を与えることで商品価値を高めることができたのではないだろうか。ホテルの延長といった住まい方が居住者のプライドをくすぐるのではないかと感じた。

 ハイグレードマンションの需要層は全体としては僅かな数にすぎないかもしれないが、各ディベロッパーのハード・ソフト両面での最新の技術やサービスを示す稀少な市場であると思われる。(tam)

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