不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

ワーキング・ママをサポートする住宅とは?

ワーキング・ママの声を反映した「ザ・ミッドランドアベニュー」

 1997年以降、共働き世帯数は一貫して片働き世帯を上回っている(2009年:共働き世帯995万世帯、片働き世帯831万世帯【男女共同参画白書】)。また、09年の「男女共同参画社会に関する世論調査」によると、女性回答者のなかで「子供ができても、ずっと職業を続けるほうがよい」という意見が45.9%の最多数となり、1992年時点との比較では2倍となった。  この結果からも、女性の仕事に対する意識が変化してきたことがわかるが、実際には両立の難しさなどから離職している人が多いことも事実だ。  こうした傾向を受けて、(株)新日鉄都市開発では09年に「ワーキング・ママ」支援プロジェクトを設立した。同プロジェクトは、住宅事業において子育てをしながら働く女性や家族のための住まいのあり方の検討・研究を行なうもの。  現在販売中の「ザ・ミッドランドアベニュー」(東京都江東区、総戸数457戸)では、同プロジェクトでの研究成果やアイディアを要所に反映している。

「ザ・ミッドランドアベニュー」外観イメージ。東側には「大島緑道公園」が隣接し、緑豊かな住環境となっている
全体模型。手前右側が認可保育施設
共用施設として設置される「親子カフェ」。子供が遊ぶ様子を見ながら、おしゃべりができるなど、ママ同士のコミュニケーションの場
「家事時短」を採用した居室の間取り。キッチンが中心となり、すべての部屋への動線が確保されている

家事と仕事の両立。楽しくやっているが時間が…

 「ワーキング・ママ」支援プロジェクトでは、これまでに5回のアンケートと、座談会を開催しており、この結果から、子供を持つ働く女性の意識や行動パターンが明らかになった。

 子育てをしながらフルタイムで働いている女性に、「子育てをしながら仕事をしている理由」を尋ねた問いでは、「経済的に必要だから」(26%)という回答が最多となったが、次いで「社会と関わりをもっていたいから」(19%)、「経済的に自立していたいから」(19%)が続き、「金銭的な理由」だけで働くのでないことがわかった。外で働くことが自己実現に繋がったり、生き方の選択になっているのだ。

 また「両立は大変なのでは?」という問いに対しては、「どちらも楽しんでいる」など、ポジティブな回答が目立った。一方で、ある働く女性の1日のスケジュールを確認すると、4~5時に起床し、食事づくりや家事に追われている模様。「朝から時間との戦いが始まる」、「子供の勉強をみてあげられない」などの意見も寄せられており、母親自身の時間だけでなく、子供のための時間が足りていないと感じているようだ。

家事の効率をアップする間取り「家事時短」

 こうした調査とあわせ、同プロジェクトでは「第1回ワーキング・ママ 住まいのアイディアコンペ」を開催。応募資格を実際に働いている女性に限定し、生活空間の提案を募集したところ、205点の応募作品が集まった。「ザ・ミッドランドアベニュー」では、同コンペでの受賞作品をもとにした企画アイディア「家事時短」の間取りを5戸に採用している。

 具体的には、多くの時間を過ごすキッチンを住戸の中心に据え、キッチンを取り囲む形で洗面室や寝室を配置し、リビングには大型の「スマートウォール収納」を設置。料理・掃除・洗濯・片付けなどの動線を効率化することで、家事時間の短縮を可能にした。

 また、キッチンカウンターとリビング・ダイニングに連続性を持たせることで、家事をしながらでもリビングで遊ぶ子供との時間を共有できるようにしたほか、個室でなくリビング中心の生活になるよう、壁面にパソコンスペースや勉強机としても使えるカウンターテーブルを設けるなど、家族との時間が増えるようなアイディアを盛り込んだ間取りとなっている。

 さらに共用施設においても子育てをサポートする工夫が採用されている。子育てをしながら働く母親にとって保育施設の確保は最初の難問だが、同マンションでは施設内に0~5歳児までを預けることができる100名規模の認可保育施設を設置。通勤前の忙しい時間に自宅の近くで子供を預けることができるのは、大きな魅力ではないだろうか。
 そのほかにも、子供を見守りながらティータイムが楽しめる「親子カフェ」や、育児用品や生活需要品を深夜まで販売するミニショップなどを用意している。
 
通勤時間も短縮。子育てしやすい住環境

 同物件はJR総武線「亀戸」駅徒歩6分、都営新宿線「西大島」駅徒歩5分という立地で、「東京」駅や「銀座」駅へも10分程度と、都心の主要スポットへのアクセスも良好なエリア。通勤時間の短縮で家族と過ごす時間を創出を可能としている。

 近隣エリアには大型商業施設などがあるため生活利便性は高く、そのほかにも幼稚園や小学校といった教育施設や図書館などがあるため、子育て世帯にとって生活しやすい住環境といえる。

住宅購入のカギは女性が握る

 新日鉄都市開発取締役住宅事業部長・林 英治郎氏は「これまでの住宅購入は、男性の収入によるところが多かったが、今後は夫婦で買う時代になるだろう。そうしたときに働く女性がどのような住まいを求めているかを、知っておくことが大事」と語る。

 今後、共働き世帯はさらに増えていくだろう。そしてかつてのような「男性は外で仕事、女性は家で家事・子育て」というイメージは忘れ去られる日がくるかもしれない。
 とはいえ、現状ではフルタイムで働いている子育て中の女性の負担が多いことも確か。ここでニーズを汲み取り「効率的な住宅」を実現できれば、将来的には男性のニーズも満たせるようになるのではないだろうか。(中)


最新刊のお知らせ

2024年6月号

「特定空家」にしないため… ご購読はこちら