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大手住宅メーカーの体感型見学施設に行ってきた

 大手住宅メーカーの中には、自社の技術やデザイン力などをアピールする見学施設を設けている会社がある。商談中の顧客を案内し、そのメーカーが持つ技術を結集したモデルハウスや研究施設などを見学してもらうことで建築の決断を後押しする役割を持たせているのだ。今回、積水ハウス(株)の体験型住宅ミュージアム「Tomorrow’s Life Museum 関東」(茨城県古河市)を見学し、新しい見せ方やユーザーへの体感のさせ方など多くの工夫が見られた。

◆積水ハウス「Tomorrow’s Life Museum 関東」

シアターから出ると、大きな芝生広場と展示棟やモデルハウスがある

 「Tomorrow’s Life Museum 関東」は、東京から車で約1時間半。圏央道「五霞」ICを降りて約20分、JR宇都宮線「古河」駅からはタクシーで約20分、積水ハウスの主要工場の一つである関東工場の至近に立地している。敷地面積約1万8,000平方メートルに、7つのモデルハウスと、同社の主要建築構造である軽量鉄骨・重量鉄骨・木造(シャーウッド)の説明、リノベーションや環境、賃貸住宅、賃貸併用住宅などの情報を紹介する施設など、15棟を超える建物を集めている。

 8月上旬、同施設において同社とパナソニック(株)が共同開発した住まいの除湿機器のプレス向け体験会が行なわれ、記者もそれに参加。体験会だけでなく、展示施設での最新技術の説明やモデルハウス見学など、従来とは趣を変えた展示に触れたので紹介してみたい。なお、体験会のニュースはこちらを参照していただきたい。

◆展示棟で技術をアピール

展示棟では、実物大カット模型を通じた構造説明が行なわれる

 施設に入場し受付を済ませるとシアタールームに案内され、スクリーンではウエルカムムービーが上映される。上映後はスクリーンが上がり、その後ろの両開き扉が開いて芝生の広場が現れる。芝生広場の中央には見学客の子供が遊べるツリーハウスがあり、広場の周囲にモデルハウスやテーマごとの展示を行なう展示棟が配置されている。

 各展示棟は、同社の住宅の構造や耐震性、環境性能といったテーマが設定されており、それぞれの分野における最新技術を学ぶことができる。また、ハードだけでなく、賃貸住宅経営について賃貸専用の住宅に加えて併用住宅での収益構造などについても最新事情を紹介している。

 展示棟の1つ「Be-tech館」は、主力商品で採用される軽量鉄骨造がテーマ。建物の基礎のカット模型等で同社の独自工法が持つ強固な構造を説明。外壁と構造を分離することで地震で構造体が揺れても外壁にひびが入らないような工夫など、詳細に至るまで説明する。また、独自の制震システム「SEQAS(シーカス)」の効果を体感することもできる。同様に木造住宅「シャーウッド」、重量鉄骨に関する展示館もそれぞれ用意しており、来場者にそのメリットをアピールしている。

◆技術と設計力を結集したモデルハウス

 7棟のモデルハウスはいずれも詳細なペルソナを設定し、同社が現在持つ技術や設計力を結集して建てている。いずれも見ごたえがあり、総合住宅展示場のモデルハウスとも一味違う、「こんな提案ができるのか」という学びのあるものだ。今回は時間の関係でシャーウッドの2棟だけを見学したが、その2棟を見た感想をまとめたい。

玄関を入って前方にはダイニングを配置。その奥にリビングをしつらえた。写真右下の白い部分はコンクリートの床で、外のウッドデッキと室内をゆるやかにつなぐ役割を持たせている
壁・天井はクロス張りではなく塗り壁・塗天井としており、「これができるのか」という技術力・提案力の高さをアピールする

 最初に見学したモデルハウス「山際さんち。」は、「59歳のクリエイティブディレクターと49歳の染織家、19歳の美大生の娘の3人家族の山梨県北杜市に建つ別荘」という設定。普段は東京のタワーマンションに暮らし、週末や連休をこの建物で過ごすという想定だという。木造2階建て、延床面積は298.82平方メートル。

 玄関を入ると、正面に玄関ホールと、そこから続くコンクリート床のホール、その脇に合計30畳超のリビングとダイニングが配置した。玄関からLDに向かわずに右側の土間廊下を抜けるとそこには“半離れ”の空間となっており、妻の染織工房がしつらえられている。
 リビングは床を下げて、「籠り感」のある落ち着ける空間となっているほか、コンクリート床のホールはウッドデッキと同じレベルにしてあり、前面の植栽を楽しめる設計になっている。また、ダイニングの奥にはキッチンを配置しており、そこも一段低くし、段差によって空間を緩やかに仕切っている。さらにその奥には「奥さんが趣味で作ったジャムや果実酒を保管する」ための空間も備えた。1階には浴室の隣にサウナも設置しており、これは見学者が希望すれば体験することもできるのだそうだ。

 1階から2階に上がる階段の途中にはセカンドリビングと称してクッションに囲まれた小空間を設置。1階にも2階にもコミュニケーションができるゆっくりくつろげるスペースになっている。2階の中心は家族のためのセカンドリビングとして、その両サイドに主寝室と書斎、子供の寝室をセットした。

 これだけでも贅沢なつくりのモデルハウスなのだが、最大の特徴は内装全面の職人の手仕事による土の塗り壁・塗天井になっている点。高さ3m超はあるだろう、天井の隅々にまで土が塗られており、圧巻の出来といっていい。案内してくれたスタッフも「いまこの家を建てたらいくらかかるかわからない」というほどだった。

平屋住宅「山本さんち。」の外観。うっそうとした森の中に建つ家がイメージされている
建物の中央に配置したリビングは来客を呼びやすい広い空間を提案している

 続いて見学したのは平屋モデルの「山本さんち。」東京都八王子市に建つ65歳の夫婦(元食品会社役員の夫と専業主婦の妻)と2匹の猫のための家で、2008年に新築して20年4月にリフォームした延床面積131.0平方メートルの家、という設定だ。「連休に孫が遊びに来るアクティブシニアの家」を想定してデザインしており、夫婦がどのような趣味を持ってるかはもちろん、飼い猫の性格まで設定。棚にはたまに遊びに来る孫(という設定)の写真も飾られている。
 玄関を入って正面には、庭からもアクセスできる土間ラウンジを置き、近隣に「開く」設計に。夫婦それぞれの趣味スペースだけにとどまらず、二人でモニターで映画を見て過ごす家飲みスペース「バル」も配置しており、心地よい空間が提案されている。

 このほかにも「シャーウッド」の最高グレード商品で和の感性を大切に設計した「ガブリエルさんち。」、子育てファミリー向けにキッズデザインをふんだんに採用した「「小林さんち。」、アウトドア好きの三世代家族を想定した「外山さんち。」など、バリエーション豊かなモデルハウスを用意。どれもが大手住宅メーカーである積水ハウスが持つ最新の技術・ノウハウを結集して建てられている。

 なお、積水ハウスはこうした見学施設を「関東」だけでなく、「東北」(宮城県加美郡)、「静岡」(静岡県掛川市)、「関西」(京都府木津川市)、「山口」(山口県山口市)の全国5ヵ所で運営している。
 このほかにも大手住宅メーカーでは見学できる施設を持っていることが多い、プレハブメーカーであれば、工場見学ができることもある。個人的には、住宅の担当記者になりたての二十数年前に見学した、積水化学工業(株)住宅カンパニーの蓮田工場(埼玉県蓮田市)は、プレハブ住宅は工業製品であるという学びがあり面白かった記憶がある。大和ハウス工業(株)では現在のプレハブ住宅の原型といわれる「ミゼットハウス」の実物を見ることができた。「住まい」に関心がある人にとっては大変興味深いものだろう。

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 4月にスタートした国の新たな住生活基本計画(全国計画)では、住宅ストックの資産価値向上と流通促進が強調された。住宅ストックを形成(新築)するのは住宅メーカーや工務店などの建築事業者だが、それが既存住宅となって二次流通市場に出てきた際、資産価値を判断し、流通を担う不動産事業者の役割。今後は、不動産事業者にもより幅広い建物の知識が求められることは想像に難くない。研修でこうした住宅メーカーの施設を見学し、最新の住宅について知識を付けることも、これからの不動産会社には必要になってくるのかもしれない(晋)


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