




家探しをする人の74%が、まずネットで検索
インターネットがすでに生活の一部になって久しい。アメリカで最もよく使われている Google Search エンジンで「real estate (不動産)」を検索すると、なんと3,580万件も出てくるから驚く。 全米最大の不動産業界団体であるN.A.R.(National Association of REALTORS = 全米リアルター協会)によると、現在、家探しをする人の74%がまずインターネットでだいたいの状況を下調べするという。いくつもの物件をネット上で比較し、勉強をした顧客は、いざ購入の段になると不動産エージェントに対し素早い反応を望み、鋭い質問を浴びせるかもしれない。もしその不動産エージェントの対応に満足できなければ、いとも気軽に別のエージェントを探すだろう。インターネットが普及してここ数年来、不動産売買に限らないが、顧客と売り手との関係について、形態の変化を感じるのは私だけだろうか?顧客の90%がサイトから、という不動産業者も
ロスアンゼルス・ディリーニュースによると、インターネットを通じたセールスは、数年前の19%から現在24%にはねあがったという。サンタクララ(カリフォルニア州)での不動産業者間の会議では、インターネットを不動産実務にいかに有効活用するかが論議されたときいた。 ロスアンゼルス中心、サンタモニカ、ビバリーヒルズ界隈の分譲住宅売買を専門に展開するある大手不動産業者は、顧客の90%は同社サイト(condosource.com)を通じて獲得したという。販売支配人、ジム・ペラド氏は、「顧客はインターネット志向が強いですね。不動産業者に連絡する前にまずいろいろな物件を実際に目で見られますからね」と述べる(Chicago Tribune newspaper 10/10/04)。 そうした中では、分かり易い内容や画面、特にヴァーチュアルツアーの整備が求められよう。また、ヴァーチュアルツアーの場合、物件のがらんとした空間のみ見せてもあまり意味がない。「あなた(つまり顧客)がそこに住んでいる」かのように室内を飾り付ける事が大切だ。家具や寝具はターゲットのライフスタイルにあったもの、しかも一段上を狙いたい。インターネットの場合、「そこでこんなふうに暮らしたい!」と思わせるイメージ作りが視覚化の段階で問題とされる。サイトの活用で顧客ターゲットを絞る
インターネットの活用で、顧客をある一定の層に限定していくのは効果的である。例えば、ゴルフが大好きな人はゴルフ場に近い家とか、ゴルフ場付きコミュニティに家を見つけたいと思うだろう。試しにネットで検索を試みてみると、ゴルフ関係の興味深い物件が瞬時に検索される(golfcoursehome.net) 。 飛行場周辺の不動産売買を専門とする Century 21の不動産業者、チャック・ロマノ氏の顧客は、自家用飛行機の持ち主やハンググライダー愛好者が圧倒的(airporthomes.com)。当然のことながら、彼らが家を売ったり買ったりするときには、ロマノ氏のサイトを見る。同じ趣味を持つ人々が住むコミュニティや自家用飛行機のアクセスに便利な場所が売買の成立率が高い。ネット上で同好の士の目に触れるからである。 別荘を専門的に取り扱うサンフランシスコの不動産業者、デヴィド・ヒーマン氏は自社サイトを5年前に立ち上げているが、すでに250の不動産業者がそのサイトに参加しているという。「こうした特色のあるサイトを活用した売買は将来有望だと思う。一般のサイトは誰にでも当てはまるというものではない。例えば、シニアが望む物件と、転職する人が望む物件とは必要条件が違って当然。それぞれの要求に応える物件のサイトがあるべきで、こういった的を絞り込んだサイトは不動産ビジネス競争の先陣をきっていくのではなかろうか?」と述べている(Chicago Tribune newspaper 12/26/04)。 不動産業者としては、いかに自社を特色づけるかが、言うまでもないが、大切なポイントだろう。
コーン 明美
横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。
89年クランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州)にてファイバーアート修士課程修了。
Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日米で展覧会や受注制作を行なっている。
アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。音楽家の夫と共にシカゴなどでアパート経営もしている。
シカゴ市在住。