




独身女性の住宅取得が急増
アメリカ女性はもはや「プリンス・チャーミング」(白馬に乗った王子様)をあてにすることなく、自分の手でしあわせをつかむ努力をしているように見える。城塞としての家を持つ独身女性が飛躍的に増加しているのは、そのあらわれではないだろうか? NAR (National Association of Realtors=全米リアルター協会)の調査によると、2003年、家を購入した5所帯のうち1所帯は独身女性。グループ別では、既婚者による取得(59%)に継ぐ21%にあたり、未婚男性11%を引き離し、2番手に躍り出た(2004年8月22日シカゴトリビューン紙)。既婚カップルは当然予想したが、独身女性の住宅購入がこれほどあるとは正直な所、驚いた。その割合は15年前に比べると、倍に伸びているという(同調査)。生き方の選択肢が広がる中で…
現在、アメリカ女性は彼女等の母親や祖母が育った時代に比べて、はるかに生き方の選択が広がった。望めば高学歴、専門職を身につけられ、マーケットは男女の別なく雇用の機会が開かれているようだ。引き続き仕事を続けることにより、経済的な不安感がなくなり、ふと気がつけば家賃と同程度の月々の支払いで、持ち家取得が可能な現状・・・。いまだに低金利でローンが組め、投資として有利な場合も多い。ここ数年の社会的、経済的な変化が、独身女性の持家取得を大きく促進したのではあるまいか?まず重要なのは「安全」
女性は家を経済上の安全対策として取得すると述べたが、実際的な面からも「安全」を望むのが見受けられる。例えば、犯罪率が少ない地域を選び、家から直接出入りができるガレージ付、あるいはマンションならドアマンが常時いるガレージ付を好み、防犯カメラや防犯ベルの設置を望む、など。また、大手住宅建設開発会社・プルティホームズの調査によれば、独身女性は手入れの手間が不要な家を最重要視、そしてただ大きいよりは居心地よくくつろげる手頃な広さの家を望む、という調査結果が出ている(03年6月22日シカゴトリビューン紙)。無理な資金計画に警鐘を鳴らす専門家も
マリリン・ケネディ・メリア女史は、独身女性が家を購入する際には、よくよく検討するようにと忠告する(2004年8月22日シカゴトリビューン紙)。まず家に関するすべての費用を書き出してみる。ローン返済金額や税金に加え、予想されうる限りの出費を検討する。例えば、暖房のボイラーが突然壊れるかもしれない。下水がつまったり、屋根に問題があったりで、大掛かりな修理などの思いがけない出費があるかもしれない。特に女性は修理を自分でするよりも、専門家に頼む場合が多く、そういった緊急の場合の費用は捻出可能かどうか、は重要なポイントだ。 次に、資産運用は実際有利かどうか。今、買わないと損、みたいなムードに踊らされ、めいっぱいの投資をしてしまうと危険があるとも警鐘を鳴らしている。現在、低金利に加え、頭金なしのローンとか、特に若い独身女性向きに「adjustable rate mortgages」という、最初は金利が非常に低く、あとになると金利があがるローンが提供され、いとも簡単に住宅取得を可能にしている。しかし、落とし穴もあるから、金額が大きいだけに、充分な考慮が必要であろう。
コーン 明美
横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。
89年クランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州)にてファイバーアート修士課程修了。
Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日米で展覧会や受注制作を行なっている。
アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。音楽家の夫と共にシカゴなどでアパート経営もしている。
シカゴ市在住。