海外トピックス

vol.114 アメリカの不動産サイトは?

図書館ではコンピューターのセクションがますます増えて、本よりもインターネットで調べものをする人々が多いようだ(イリノイ州オーランドパーク市立図書館)
図書館ではコンピューターのセクションがますます増えて、本よりもインターネットで調べものをする人々が多いようだ(イリノイ州オーランドパーク市立図書館)
不動産会社の受付では、一人一人が電話だけでなくコンピューターにも応対するようになった(イリノイ州リバティヴィル市 センチュリー21 トーマス・クリューザー・オフィス 以下同じ)
不動産会社の受付では、一人一人が電話だけでなくコンピューターにも応対するようになった(イリノイ州リバティヴィル市 センチュリー21 トーマス・クリューザー・オフィス 以下同じ)
応接室で顧客に説明するために設置してあるコンピューター。ファイルやパンフレットより説得力がある、と不動産エージェント、パム・フューサックは言う
応接室で顧客に説明するために設置してあるコンピューター。ファイルやパンフレットより説得力がある、と不動産エージェント、パム・フューサックは言う
エージェント達は自宅に少なくとも1台は自分のコンピューターがあるため、オフィスではこの1台を共有している。たいていの仕事は自宅で済ませる
エージェント達は自宅に少なくとも1台は自分のコンピューターがあるため、オフィスではこの1台を共有している。たいていの仕事は自宅で済ませる

車社会のアメリカでも、いまや物件探しはネットが主体に

ガソリン価格の高騰で、あちこちドライブして回るよりも、ネット上で絞ってから家を借りたり買う人が激増しているようだ。

さて、アメリカで最大の不動産業者組織、NAR (National Association of Realtors=全米リアルター協会 www.realtor.com/)のサイトを見る。当然ながら豊富な情報量。その割にはホームページはシンプルで、家探し、賃貸、ファイナンス、引っ越し、そして園芸、と5つの項目に分類され、それぞれの項目がさらに細分化されている。シカゴ市で「月10万円前後の家賃、3ベッドルーム、2バスルーム」という賃貸物件を仮定して、賃貸の項目から探してみた。出て来た16物件はいずれも条件に合ってはいたが、どれも昼ひなか車で通るのさえ恐い地域の物件であった。この条件で10万円の家賃では難しいということか? では、と、15万円に上げたら安全な地域で24件出て来た。アメリカでは「安全」は高くつく、と納得(?)。

賃貸価格、住所、写真、扱っている会社と連絡先、そして詳細。賃貸でなく売買物件では、地域を狭めて郵便番号で調べると、地図が右側、左にはそれぞれの物件の写真、価格、扱っている不動産エージェントの情報が出てきて非常に見やすい。さすがNARである。

仲介会社も見やすさ、インパクトなど、さまざまに工夫

ではアメリカの大手不動産仲介会社のサイトはどうであろうか?

中でもリマックス社のサイトはわかりやすい(www.remax.com/)。「シカゴ市、3BR、2バスルーム、価格は5,000万円から7,000万円までの一戸建て住宅」と入れてみた所、166件出て来た。気に入った物件があれば、クリックして付記されているカレンダーで実際の物件を見る予約を取り付けたり、詳細な物件情報もリクエストできる。地図で特定の場所を絞って探せるのもよい。ただ、さらに詳しい情報が欲しい時は登録しなければならず、抵抗を感じたが。

同じく大手不動産仲介会社のコールドウェルバンカー社(www.coldwellbanker.com/)はリマックス社とサイト上の仕様は同じだが、ダウンロードにやや時間がかかるのと、視覚的にごちゃごちゃしている。ある物件に絞ってバーチュアルツアーをクリックしてみたら、担当している不動産エージェントの大きな写真のわきに物件のビデオ、そして音楽が鳴り出して、びっくりした。ちなみにインターナショナルの項目があるが、国内程は充実していない感じ。

コンテンツの新鮮さ、ビジュアルの楽しさで「魅せる」サイト

不動産業者と購買者を結ぶ仲介のような面白いサイトがある。豊富な情報に加え、視覚的に大変すっきりとまとまっていて、サイト作成の際、参考になると思うので紹介してみよう。

「トゥルーリァ」というリアルエステートのサーチエンジンで、不動産のブローカーでもエージェントでもない。会社案内によると、収入は不動産業者や関係業者のサイト掲載による広告から、とある。不動産エージェント会社でないため、公平に物件を見比べられる、という利点があるし、不動産に興味のある人が誰でも参加できるヴァーチュアルのコミュニティ広場と言えよう(Trulia Real Estate Search www.trulia.com/)。

トゥルーリァのホームページを開くと、「家を探す(find homes)」、「不動産業界の傾向」、「専門家によるアドバイス」などの欄があり、郵便番号または都市名を入れて地域を限定してクリックすると、その地域における物件の写真だけでなく、通りの景観、地図、サテライトによるイメージが引出される。また、市場の傾向やアドバイスなど、絞り込まれた情報が出てくるのにも驚嘆。

ホームページは、会社案内、パートナーズ、関連リンク、リーガル(規定やガイドライン)の4項目に大別される。パートナーズの項目では無料でトゥルーリァのソフトウエア使用を紹介。広告掲載は無料ではないが、月に450万件のサイトビジターがあるというから(!)、広告掲載は効果があるに違いない。

REMAX, Coldwell Banker, Century 21などのアメリカ大手不動産業者がパートナーでもある。トゥルーリァのリンク項目のスナップショットは何時間も過ごしてしまうほど面白い。地図と俯瞰イメージで特定の区域や物件の環境、公園や学校など視覚的に眺められるのを手始めに、hindsightでは、1800年から現在まで、どのように土地開発が都市から周辺へとなされていったかが年を追って映し出される。

売家は飾り付けが大事、サイトはすっきり感が大事

従来、不動産業界では「ロケーション、ロケーション、ロケーション」と言われ,一にも二にも「場所」がいかに重要であるかが強調されてきたが、現在では「プレゼンテーション、プレゼンテーション、プレゼンテーション」と変化(Chicago Tribune newspaper 08/03/08)。

つまり、その物件をいかにインターネット上において「魅力的に提示、表現するか」に勝敗はかかっているという意味だろう。家の売買、賃貸でもそうだが、外見、室内、そして近隣の写真やビデオなどの視覚効果はもはや言うを待たない。実際の家を改装したりステージングといって飾り付ける傾向は以前紹介したが(vol.92 “アイキャンディ”参照)、それ以前に、内容をわかり易く分類し、いかにすっきりしたサイトにまとめあげるかが、現在、まず第一の関門として立ちはだかっているようだ。

明美コーン

コーン 明美
横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。 89年クランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州)にてファイバーアート修士課程修了。 Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日米で展覧会や受注制作を行なっている。 アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。音楽家の夫と共にシカゴなどでアパート経営もしている。 シカゴ市在住。

新着ムック本のご紹介

防災・復興ハンドブック<改訂版>

不動産管理会社・
賃貸住宅オーナーのための
防災・復興ハンドブック
<改訂版>

自然災害に備えて!手元に常備しておきたい一冊です。 540円(税込・送料無料)

ご購入はこちら
NEW

?~\~H?~H~J?~M?~K~U?~T??~A?~@~Z

月刊不動産流通 月刊誌 2017年10月号 日々の実務に役立つ情報満載です

特集は、「頻発する自然災害に備える地場企業の防災対策」。「今からでもやっておきたい かんたん防災・BCP」リストも掲載しています。

ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムック防災・復興ハンドブック<改訂版>

自然災害に備えて!手元に常備しておきたい一冊

価格: 500円(外税)

ジャンル別セット月刊不動産流通バックナンバー

宅地建物取引士資格試験合格コースアットホームスタディ

試験の出題範囲をしっかり押さえられる!

平成29年度 不動産コンサルティング技能試験合格コースアットホームスタディ

幅広い試験範囲を効率よく学習!

お知らせ

2017/9/21

「海外トピックス」更新しました

Vol.330 大人のアートキャンプ:ペンランド工芸学校(その2) の記事を更新しました。

世界中からさまざまなアーティストや工芸職人が集まるペンランド工芸学校のアートキャンプ。

同学校は非営利団体であるため、助成金、寄付金が主な運営資金ながら、足りない分はなんと作品オークションで調達するという工夫もされています。また、学生たちの講習参加費捻出を手助けするためにも役立てているのだとか。

今回はそうしたオークションの仕組みについてレポートします。